episode57 ページ10
「お、お邪魔します」
kr「はいはいいらっしゃい。散らかっててごめんね」
半ば誘拐のような形で連れてこられたレラおじさんの研究所。港町から少し離れた海が見える丘の上にポツンと建っており、こじんまりとしている。
散らかっていると言う割には整理されていて、机の上にはフラスコやらに発光した不思議な液体がぶくぶくと不気味な音を立てていた。
kr「ナタリーちゃん！お客さん！」
私を椅子に座らせると、レラおじさんはそう言って部屋の奥へと姿を消した。
取り残され、暇を持て余した私はキョロキョロと部屋を観察した。
壁全体にぎっしりと本が詰まった本棚に、謎の骨の標本やら“毒”と書かれた奇妙な大量の瓶やら……いかにも、という感じに私は思わず苦笑した。
kr「んふふ、Aちゃ〜ん！お待たせ〜」
nt「クラレ先生……遂に誘拐っすか？」
「半分正解です」
kr「ちょっと二人とも！？」
レラおじさんが連れてきたのは紫色の髪をしたセクシーなお姉さん。もくもくと湯気が登るカップを二つ持ってやってきた彼女は、私の顔を見た途端、結構ガチのトーンでレラおじさんに詰め寄った。
──いきなり腕を引かれ、行き先を告げずに同意を取らないまま連れてこられたこの現状……確かに誘拐だな…
そう思った私は取り敢えずナタリーさんの疑問に対して頷きながら答えると、レラおじさんは焦ったような声を上げた。
kr「もー、からかわないでよAちゃん…」
「へへ、ごめんね」
仮面越しでも分かるほど、ジトッとこちらを見るレラおじさんに笑っていると、コト、と目の前に美味しそうな匂いがする紅茶が置かれた。
nt「君もしかしてアレっすか？クラレ先生がよく口にしていた、知り合いの娘さんっすか？」
「多分…そうですかね？」
kr「そうだよ」
nt「君の話は色々聞いてるっすよ。おしっこ漏らしちゃった話とか、狭い所に頭突っ込んで抜けなくなった話とか」
「いつの話ですかッ！？！？」
とんでもない話に思わず口に含んでいた紅茶を吹き出した。
当のレラおじさんはと言うと、冷や汗を垂らしながら下手くそな口笛を鳴らして明後日の方向へ顔を向けた。
そんな私たちを見て、ナタリーさんは何かを察したのか、苦笑しながら部屋の奥へと戻って行ったのだった。
──────
今更ですが、逆夜れらくはクラレ先生の本人の別名義です。
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蛇狐(プロフ) - #ゆー@金欠民族さん» ありがとうございます！自分のペースで頑張っていきます！ (2020年12月11日 16時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
#ゆー@金欠民族 - 後編決定おめでとうございます！！ばちくそにおもろいです！！ ゆっくり、ゆっくりでいいんで続き待ってます！！ これからも頑張ってください！！ (2020年12月10日 20時) (レス) id: 3046ae6781 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 妖々 梅雨里さん» 仕事の都合上、更新するペースはまちまちになってしまうと思いますが、頑張ります！ (2020年9月12日 21時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
妖々 梅雨里 - 更新ゆっくりと頑張ってくださいね〜無理をしたらちょっと……ね〜。 (2020年9月12日 12時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます！これからもビシバシと物語を進めていきます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年8月19日 8時
