episode87 ページ40
tn「は？」
ut「あー！待って待って、落ち着きトンち。ちょっと出血が多かったけどもう治療も済んだし大丈夫ってぺ神が言ってたで」
tn「…………」
shp「トントンさん顔怖いっすよ。そんな顔でAさんたちの所行かんで下さいよ」
大先生の背中と肩にじんわりと広がっている赤色。大丈夫って言われても、こんなのを見てしまったら安心なんてできない。
鈍く赤に染るスーツに手を伸ばし、ぐちゃ、と小さく響いた音に眉を顰める。
ut「トントン、あんま怒らんとってな」
tn「いや怒るも何も俺は…」
ut「ちゃう、Aちゃんやなくて……」
途中で言葉をとぎり、肩を竦めてヘラりと笑った大先生は俺の手をハンカチで拭うと、そのまま肩を叩いて通り過ぎて行った。それに続くようにショッピ君も軽くお辞儀をして大先生を追いかけて行ってしまった。
tn「俺、何か怒らんといかんことでもあるんか？」
小さくなっていく彼らの背中に顔を歪めつつ、俺は診療所へ急いだ。無事と言っていたがかなりの出血、治療が完了しても喋れる状態かどうか……
診療所に到着し扉に手をかけたところで、ふと、数年前にAに会うべく孤児院に赴いた際に味わった絶望が頭を過る。
ああクソ、何弱気になっとんねん。
俺はあの時の思いを振り払うように頭を振り、扉を開けた。
si「あ、トントン。よく来たね」
tn「ぺ神…Aは……」
si「あはは、ごめん……自室に戻らせちゃった」
tn「んぇ？」
si「治療が終わって後は安静にするだけだから、休むならここじゃなくて自分の部屋の方が落ち着くだろうし」
申し訳なさそうに雑面の端を指で弄るぺ神。そんな彼の反応に俺はクソでかい溜息を漏らしてしゃがみこんだ。
si「ええ！？どうしたのトントン、どっか具合悪い？」
tn「いや、いつも俺タイミング悪いなって……顔見れてないから心配やけど、一人で歩けるなら大丈夫か、」
はは、と力無く笑う俺に、どこか引いたような雰囲気で「う、うん」と一歩下がったぺ神に心が折れそうになりつつ、俺は黙って立ち上がる。
tn「あー…どうしよ、俺グルさんに詳細まとめて報告しなきゃいけないんやけど」
si「ん？あぁ、それなら……」
ｽﾞ「俺がAの変わりにトントンさんに説明しますね」
tn「ん？おお、ズールか」
白紙の紙を見つめながら途方に暮れていると、ぺ神の声に合わせてひょっこりと治療室の方からズールが顔を出してきた。
あぁ、これなら何とかなりそうだ。
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蛇狐(プロフ) - #ゆー@金欠民族さん» ありがとうございます！自分のペースで頑張っていきます！ (2020年12月11日 16時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
#ゆー@金欠民族 - 後編決定おめでとうございます！！ばちくそにおもろいです！！ ゆっくり、ゆっくりでいいんで続き待ってます！！ これからも頑張ってください！！ (2020年12月10日 20時) (レス) id: 3046ae6781 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 妖々 梅雨里さん» 仕事の都合上、更新するペースはまちまちになってしまうと思いますが、頑張ります！ (2020年9月12日 21時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
妖々 梅雨里 - 更新ゆっくりと頑張ってくださいね〜無理をしたらちょっと……ね〜。 (2020年9月12日 12時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます！これからもビシバシと物語を進めていきます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年8月19日 8時
