episode10 ページ10
取り敢えず、何か返さないと失礼だ。
「よ…ろしく…おねがい…します」
口の中の鍵がバレないようゆっくりと喋った。ぐにゃぐにゃと舌が動き上手く喋れ無かったが将官たちにはバレていないようだ。
しかし、目の前の男には多分バレた。
彼は私が口を開いた時にスっと目を細め笑っていた。
gr「クックックッ、随分とお転婆な子みたいだな」
そう言って彼はわしゃわしゃと私の頭を撫でたかと思うと、着ていた上着を脱いで私の肩にかけた。
突然の行動に目を見開き驚いていると、彼は佐官から鎖を奪い「来い」と小さく呟き、私を糸目のもう一人の人の隣に座らせられた。
ふわふわの髪を団子にまとめその髪をくるくると指に絡めて遊んでいる糸目の彼は私を一瞥してニコリと笑った。
「報告通り凄く美人さんめう〜」
め、めう……
初めて聞く言葉に思わず首を捻ると隣に腰を下ろした総統が「気にしたら負けだ」と口を開いた。
os「Aちゃん初めまして、俺は我々国で外交官やっとるオスマンや。これからよろしくな〜」
「よろ…しくおねが…い…します」
これからも私と関係を持つような、そんな彼らの言葉に思わず眉を顰めた。
「A・カラシニコフ」
「はい」
私たちのやり取りを黙って見ていた我が国の総統閣下が頃合いを見て口を開いた。私が捕らえりた…あの日以来の対面。あの時の凍てつくような総統閣下の冷たい表情を思い出し、思わず肩に掛けられている上着をきつく握る。
周りに控えている将官たちはニヤニヤと下卑た笑いを浮かべ私たちの様子を伺っている。
「グルッペン総統閣下とオスマン外交官のご意向によりお前の罪は無かったことになった。だがそのかわり、A・カラシニコフ……お前は今日からロシフ国ではなく我々国の国民として生きろ」
「は…」
突然の事で頭が追いつかない。
チラリと隣の外交官へ視線を送るとニコリと意味ありげな笑顔を返された。
なぜ我々国は私を欲する。
gr「さて、私達の目的も手に入れたことだし…そろそろ帰らせていただきます」
os「とても有意義な時間でした。では」
そう言って彼らは立ち上がった。
「Aちゃんも行くめう」と外交官に手を引かれ私も立ち上がる。
部屋を出る時、一応世話になった上司たちなので頭を下げると「沢山可愛がってもらえ」と意味ありげに笑われた。
あぁ、そういうことか。
私は彼らの欲の発散に使われるのか。
全てを悟った私は目の前が真っ暗になった。
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蛇狐(プロフ) - イチゴダイスキさん» へへへ、ありがとうございます!(神様では)ないです。 (2020年12月13日 15時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴダイスキ - え?え?え?神様ですか?そうですね?なんでこんな神作品作れるですか!!もう無理好キィ(鼻血) (2020年12月12日 20時) (レス) id: f02fd4c99a (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - ゼネヴァンスさん» ありがとうございます!これからも隻脚をどうぞ宜しくお願いします!v (2020年8月10日 1時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
ゼネヴァンス(プロフ) - お気に入り1000人以上になりましたね!!!おめでとうございますっ!!!! (2020年8月10日 0時) (レス) id: d6da2f5e2e (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 紗稀さん» ひぇ……とてもありがたいお言葉ありがとうございます!読者さんや相互さんのお陰で成り立ってるようなものなので……笑 頑張って更新していきます!v (2020年8月9日 23時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蛇狐 | 作成日時:2020年7月29日 17時