episode6 ページ6
ふわふわの薄い水色の髪に、特徴的なグルグル瓶底メガネ。そして190はゆうに超える大きな体。
貼り付けたような笑みを浮かべてこちらを見下ろす青年を目にし、私は目を見開いた。
──この人、新兵だ。
汚れ一つない真新しい軍服に身を包み、入隊して一年目の兵が付ける胸元のバッチがキラリと光った。バッチの色を見るに、彼は情報部所属らしい。
私は思わず、はぁ、と溜息を吐き、じっとこちらを見つめる青年を見上げた。
「ここは新兵が入っていいような場所じゃないよ。先輩たちに怒られたくなかったら早く出ていきなさい」
見世物じゃない。そう冷めた声で吐き捨てると、青年は可笑しそうに口を歪めてクスクスと笑いだした。
何がおかしいんだ。
手を口に当てその口の歪みを隠すように笑う姿が、余計に青年への不信感を募らせる。
眉を顰める私に気づいた青年は「すみません」と言った。
全然すみませんって思ってない声色だな。
ムスッと頬を膨らますと青年はまたクスクスと笑い、そして鉄格子の前に、どっこいせ、とおっさんくさい声を上げて腰を下ろした。
「いやいや、なんで座るんですか。出て行けって言いましたよね」
「あれ、なんで敬語になっちゃうん？さっきタメ口やったのに」
「逆に君のような二等兵がなんで初っ端からタメ口なんですかねぇ」
生意気なこの新兵にビキビキと青筋を立てながら顔を引き攣らせる。誰だコイツの教育係は。何をどう教えたらこんな生意気になるんだ。
心の中でぶつくさと文句を垂れていると、グイッと体が前に持っていかれた。
前に倒れる体に慌てて手を着いて体勢を整えると、ジャラジャラという耳障りな鎖の音が牢屋に響く。
「なぁ、もっとこっち来てくれへん？暗くて全然表情見えへん」
私の手に繋がれた鎖を持ちながら、また貼り付けたような笑みを浮かべて話す青年。
色々と文句を言いたいところだが、全てを飲み込み我慢する。
変に刺激してここで騒がれたら面倒だ。せっかくタミーラに首の皮一枚で助けてもらったのに、それを台無しにしてしまっては彼女に合わせる顔がない。
私は大人しく青年の支持に従い、鉄格子越しに彼の目の前に腰を下ろした。
「わ、めっちゃ美人さんやん」
「…………」
本当になんなんだこの人は。
キャッキャッと嬉しそうな声を上げる目の前の青年を目にし、今日何度目か分からない溜息をまた一つ吐き出した。
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蛇狐(プロフ) - イチゴダイスキさん» へへへ、ありがとうございます！(神様では)ないです。 (2020年12月13日 15時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴダイスキ - え？え？え？神様ですか？そうですね？なんでこんな神作品作れるですか！！もう無理好キィ(鼻血) (2020年12月12日 20時) (レス) id: f02fd4c99a (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - ゼネヴァンスさん» ありがとうございます！これからも隻脚をどうぞ宜しくお願いします！v (2020年8月10日 1時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
ゼネヴァンス(プロフ) - お気に入り1000人以上になりましたね！！！おめでとうございますっ！！！！ (2020年8月10日 0時) (レス) id: d6da2f5e2e (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 紗稀さん» ひぇ……とてもありがたいお言葉ありがとうございます！読者さんや相互さんのお陰で成り立ってるようなものなので……笑 頑張って更新していきます！v (2020年8月9日 23時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年7月29日 17時
