【d!】隻脚の書記長【tn】

episode36 ページ37

俺の反応を見て飽きたのか、下手な質問をしてくるやつはいなくなり、昔の思い出話を聞いてくるようになった。

コイツらに話すのは癪だが、後々Aに突撃でもされたら面倒なので大人しく話していく。

どんな風に過ごした、どんなことをした、どんなことを話した、と思い出せる範囲でコイツらが満足するまで話していると……


パリーンッ


グルッペンの後ろにある窓ガラスが割れ、何者かが転がり込んできた。

俺は咄嗟にグルッペンの頭を手で抑えて伏せさせる。「へぶっ」というグルッペンの声とともに、勢いが余りすぎてゴンッと彼の顔をテーブルに叩きつけてしまったが、そんな事を気にする余裕なんて俺には無い。


一気に緊張が高まる食堂。


幹部やその補佐並びに国のトップが一堂に会している場に乗り込んで来た命知らずに、刀を抜いたひとらんがにじり寄る。



ht「あ…れ、ゾム！？」

「「「は？」」」



舞っていた埃が晴れ、姿を現した侵入者を目にしたひとらんが口にした名前に、俺らは思わず気の抜けた声を上げた。

当の本人はずいぶんとケロッとした顔をして服に付いたガラスの破片を払いながら、何事も無かったかのようにギザギザの歯を見せて笑った。



zm「いや〜…腹減った〜、診療所行っとったら時間食ってもうたわ」



そうケラケラと笑い、彼は空いてる席に腰を下ろした。



rbr「おまっ、何ナチュナルに座っとんや！まず謝れや！これ、これどうするつもりやねんッ！！」



俺らの思いを代弁したロボロの大声が食堂内に響き渡る。

……まぁ、取り敢えず…



tn「ゾム、窓の修理代はお前の今月の給料から天引きな」

zm「えー」


顔を顰めてテーブルに突っ伏するゾムに睨みをきかせていると、手のひらをポンポンと誰かに叩かれた。



gr「あのー、トン氏？そろそろ手を退けてもらってもいいですかねぇ？」

tn「あ、すまん」



ずっと抑えつけていたグルッペンから手を退けると、彼は額を真っ赤にしながら鼻を痛そうに摩って顔を上げた。

そんなグルッペンを皆で笑っていると、パスタを口に詰め込んでいたゾムが「あっ！」と声を上げた。



zm「あとでAに関してグルッペンに報告したいことがあるから、食事終わった後時間開けといてや」

gr「そうか、時間はどのくらいかかる？」

zm「いや、そんなかからんと思う。ちょっと気になったことがあって」






gr「……ほう」



パンを口に運びながら聞いていた二人の会話に、ざわりと心が波立った。

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