【d!】隻脚の書記長【tn】

episode4 ページ4

懐かしいあたたかい夢と現実とのギャップにうんざりする。

妙にいい気分で目を開けたのはいいが、目の前に広がる光景に軽く溜息を吐いた。

ジャラリと手首に重くのしかかる手錠やかび臭いベッドに薄暗い部屋。



「惨めだなぁ…」



ポツリと零れた声は、誰にも答えてもらうことなく寂しく部屋に響いた。


＊


小さい頃から機械に興味があり、影から国を支える軍人……特技兵になるのが夢だった。

武器の整備や開発はもちろん、戦争や内乱で四肢の欠損、半身不随となった人々への義足や義手の提供。

誰からも必要とされなかった私が誰かのヒーローになる、唯一の方法。




無理だと周りから馬鹿にされた。笑われた。

でも、彼から貰った言葉を信じて頑張れた。




血反吐を吐く努力をした。

死に物狂いで勉強をした。

罵詈雑言にも必死に歯を食いしばって耐えた。









その結果が、コレである。





開発した技術を上司に盗まれ、挙句の果てにその上司が今まで起こした不祥事の全責任を負わされ、牢屋へ投げ込まれた。


誰かのヒーローになるはずが、気がつけば手を鎖に繋がれた罪人だ。



あぁ、惨め。本当に惨めだ。



そんなことを思いながら、監視兵に乱雑に渡されたカビ臭いパンへ恨みをぶつけるように今日も齧り付いた。

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