Dr.ロレイスの提言３４ ページ36
10月20日 10:12
管理者:Dr.ロレイス
サイトC:フロアF/S-324.12
クリプトスにバックアップを済ませ、合同研究の申請書を提出した。今日の午後には…問題がなければ受理される。
過去の日記は読み終えた。
身に覚えのないことも多いが、思い出した箇所も多くあった。見えてきたこともある。例えばノックの音。ドアを四回叩くあの音は、私がまだ十にも届かなかった頃の記憶だ。夏にサンシャと家の裏手にある小さな森へ出かけ、可愛らしい秘密基地を木の合間に作った。幼いながらに良い出来だと今でも思うよ。その秘密基地に入る際に、四回叩いたのが始まりだ。以降何かの合図みたいになって、ちょっと秘密の話をする時とか、内緒の外出に誘う時とか、四回な、叩いて呼んだんだよ。
覚えてる。二階の窓にボールを四回。深夜だった。学生の頃だったかな…二人でこっそり抜け出して、映画を見に行って街で遊んで。両親達にはバレなかったよ。いや、バレてたけど見逃してくれたのかも。多分そうだな。私達はバレてない気でいて、両親に見守られていた。シジロにこの話をしたら、彼も思い出してくれたようだった。彼はこっそり出かけていく私達を、自分の部屋から笑って見ていたらしい。あ…だから…帰ってきた時に玄関が開いていたのか…。
そろそろシジロがフロアFに来る。TD-1とレディダフネ、オリジナルダフネについて話す予定なんだ。レディダフネの翼をTD-1に移して、機動性を高めたいのと…本題の話と。あと過去の日記についてもだな。抗曝露剤と共に書かれていた電波野郎と言う一言についても。
日記を読んでいて分かったんだが、私の記憶が掠れる前には必ず健康診断と脳波検査が入っていた。これが原因でほぼ間違いないだろう。どうやら中央病院までも関わっているようだ。財団サーバーにある私の記録を消去したのは、勿論財団だろうな。外部からはシステムウロボロスに弾かれて入れないのだから。
財団サーバーについてはシジロが担当してくれる。私達は中央病院をやることになるけれど…どうしたものか。医者でも看護師でもないんだ。入れないぞ。
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