Dr.ロレイスの提言 (ページ21)

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Dr.ロレイスの提言１９ページ21

そのまま続きを書いておく。
財団の上役達はキュベレーの黒常旗について、色々な憶測を飛び交わせているようだ。上役達は今のところ黒常旗を…無政府主義や、強い権力に対し不服を訴える物と見なしている。この国の場合、政府と言うよりも王政に対する不満になるのだろうか。さらに海賊の混乱に乗じているから、海賊の掲げるブラックフラッグの意味も重ねている。しかし襲撃の中でキュベレーの者が何かを弔う行動をしていたらしく…弔旗かもしれないと言う意見もある。旗の意味として有力なのはこの三つだ。

キュベレー自体はどうにも曖昧だ。前言ったような自我(か、それに似た何か)を得たロボット。または反政府的な…こう…よく言えば活動的で政治にとても関心の強い人々。海賊が潜入して、国民に扮しているのでは？との可能性もあるらしい。海賊を警戒する為のロボットが奪われているのだから、あれらの中にそれがどのような形で存在し、利用されているかはともかくとして、数に含まれているのは確かだろう。

だがあのロボットはサンシャが開発したんだ。自分で開発したロボットがいるかもしれない集団に、自分が拉致されるなど……ん？いや、ロボットがいて、その仕組みを知っているから狙われたのか？

えぇと…そうだ、それで。私は上役について、財団の代表であるその人達について顔も名前も知らない。ほとんどの者が知らないと思う。人事ファイルにも載っていないし、セキュリティに引っかかってライブラリは使い物にならない。私が知る中で最も地位の高い人は、このサイトCの管理者だな。まぁ…その…会ったことはないが…。だから質問を送ったんだ。なぜ私は、己の所属する組織のトップを知れないのか？と。返ってきた答えは〈何度も会っていますよ〉だった。何度も会ってる？いいやまさか。それは表向き、広告塔としてトップを名乗っているサイトAの管理者じゃないか。

いや、そんなことはいい。

この質問をした翌日、何故か健康診断の連絡が入った。いつかやったような、脳波チェックだけの健康診断。あと精神も。この感覚には覚えがある。思い出せないが…前にも、何度も、この感覚を感じているはず。

ドアを軽く叩く音がする。四回、コン、コンコンコンッとのリズムで。懐かしい。とりあえず、精神状態のチェックは良い機会かもしれない。この音について相談してみよう。

信用はできないがな。