深夜1時 ページ14
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「 うわあ……お洒落…… 」
思わず口から言葉がもれる。それ程までに、カフェの店内は綺麗に整えられていた。
木製で揃えられた柔らかな雰囲気、天井から吊り下げられた複雑な構造の照明。淡い水色の光が店内全体の雰囲気を纏めあげ、落ち着く空間を作り出していた。
中原さんについていくと、奥の方の二人がけのテーブルに着く。失礼します、と一言、中原さんの真正面に座った。
「 中原さんはよくこういう所来るんですか? 」
「 そうだな、休日はよく来るな。あんま友達とわいわいっていうの、好きじゃねえんだよ 」
「 そうなんですか?中原さん交友関係広そうですけど……ほら、大学時代の友達ー、とか 」
「 普通に連絡をする奴等はいるぞ 」
たわいもない会話の中に、中原さんの笑顔を見つける。それだけで嬉しくなってしまうあたしは重症だろうか。でも大学時代の友達のことまであたしに話してくれることは、あたしを少しは信頼してくれてるからって、思っていいだろうか。
中原さんは一通り自分の身の回りのことを話した後、運ばれてきたレモンティーを一口飲んで、あたしに問うた。
「 お前は?休日何してんの? 」
「 あたしはそうですね……大体家でまったりしてますけど、たまに図書館で勉強したりとか、 」
「 お前が?冗談だろそれ 」
「 なんでですか!ホントにしてますって! 」
中原さんが冗談めかしく笑う。
うう、なんとなく分かるけど。あたしのこの性格とか楽観的な感じとかで、勉強するタイプに見えないのは分かるけど。自分でも自覚済みだからあんまり云わないでください。
あたしは続けた。
「 ……七瀬と付き合い始めてから、するようになったんですよ。勉強も 」
七瀬は見た通り完璧な王子様だった。
顔が整っているだけでなく、勉強も出来たし運動も人並みに出来た。そんな彼に相応しい彼女っていうのは、とんでもなく素敵な人なんだと、きっと周囲の誰もが思うことだろう。
だから、あたしは努力した。あたしが隣にいることで、七瀬の価値を下げたくなかった。勉強も頑張ったし、お洒落も頑張った。時にはお菓子作りなんかもした。七瀬の為に、頑張ってきた。
「 でも、現状がこうなってるってことは、きっとあたしが何処かで頑張り方を間違えたのかなって 」
中原さんは黙って聞いていた。
あんまり、沈黙は好きじゃないんだけどな。
そんなあたしの手を、中原さんが柔く握った。
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しょこたん(プロフ) - 初めまして!警官中也さんとか最高過ぎます!続き更新してほしいです! (2018年12月10日 20時) (レス) id: 130af08cdc (このIDを非表示/違反報告)
しらせ(プロフ) - キサラギさん» コメントありがとうございます!その発想はなかったけど面白すぎませんか、、、笑 中也さん不憫すぎます笑 マフィア中也さん×警察官夢主ちゃん、、、それはそれで面白いかもしれませんね笑 ありがとうございます! (2018年8月24日 6時) (レス) id: d14bf30071 (このIDを非表示/違反報告)
キサラギ - タイトルだけ見てるとマフィアの中也が (身長のせいで) 警察に補導されたのかと思って笑ったw (2018年8月24日 0時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
しらせ(プロフ) - 乃杏さん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんと中也さんが色々すれ違っちゃうかもしれませんが、また暖かい目で見守ってやってください〜笑 (2018年8月22日 7時) (レス) id: bba8357d2d (このIDを非表示/違反報告)
乃杏(プロフ) - 夢主ちゃん!大丈夫!私の親は6歳差だから! (2018年8月21日 17時) (レス) id: 477b1e96bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しらせ | 作成日時:2018年8月11日 20時