暴走 ページ5
笑いが収まらない。
人々の表情、叫び、命乞い。
むだだよ。全部、ね。
阿鼻叫喚の中、ボクはただ一人、笑みを浮かべていた。
そこへ響く１つの声。
この声は何故か、はっきりと聞こえた。
「やめろよ、こんなことして何になる」
少年の声。ボクと同い年か少し上くらい？
その声にボクは答える。
「やめない、ボクが楽しめる事だから」
少年との応酬。
その少年は、いつの間にかボクと対峙して…群衆は、それを囲んでいた。
「何故こんな事をする」
「殺人鬼だから」
「やめないとお前の刑は重くなる一方だぞ」
「知らないね、そんな事。捕まらないから」
「ならば捕まえてやろうか」
その言葉を合図に群衆から屈強そうな男が何人も飛び出す。
「出来るもんなら捕まえてみなよ？」
ボクはナイフを構え…男達の頸動脈を的確に切り裂く。
血が吹き出て辺りは紅く染まる。
「な…！？」
驚く少年に、ボクは群衆を次々に紅く染め上げながら、一言だけ言った。
「捕まらないって言ったでしょ」
残すは少年ただ一人。
生き物の気配は他にない。
つまり最後の生き残り。
「おめでとう。キミは最後の生存者だったね」
「生き続けてやるよ…」
震えた声でそんな事を言う彼に、ボクは…
嫌気が差した。
無性にイラつく。
殺意が湧き出して抑えられない。
「少年、キミは特別に、優しくあげる」
磔にした少年の目線。
両足を切断され、身を焼かれる少年の表情。
それに当てはまる言葉は一つだろう。
《可哀想》
屈辱だ、あんな奴に憐れまれるだなんて。
ああ、抑えられない‼
次の里もその次も…全部、全部…
コワシテヤル
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
