僕の名前を言ってご覧。【呪術廻戦】【男主】 (ページ9)

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「A」

優しい声が聞こえた。
「ちょっと痛いぞ」

「え?」

ブチッ!!!

「っっぁ"ああ"あ"あああ"あ?!!!!!!!!!」

焼けた喉から凄まじい痛みが走る。

あぁ、僕、今叫んでるんだ。

左の薬指。
その根元。

僕の指を悠仁君が……

「美味しいな……」

食べた。

そのままもう一度唇を重ねられた。
味は分からない。
舌も焼けたままだから。

「虎杖……お前っ!!」

音がしっかり聞こえるように。

「伏黒……俺、ただ呪霊として生き返ったんじゃないんだ」
唇が離れた。

肌の痛みはいつの間にか消えている。
瞼に体温を持った手が触れた。

「Aはな、特別なんだよ」

「……何を言ってる……いや、…まさか?」

「そうだよ。伏黒。俺も宿儺も、今はAの

式神だ」

Aの目元から手を離した悠仁は目を開くよう促した

「……悠仁くん…」

開いたAの目は実態を持った悠仁を写し、その向こうに立っている黒ずくめの青年を捉え、自分の後ろに撒き散らされた酸を認識した。

「あぁ……あの化物の中……酸で溢れてたんだ……」
だから服も肌もカバンも全部溶けたんだ

Aの目は黄色に輝く。

蜂蜜を溶かしこんだかのように奥深く、甘さを感じさせるかのような輝き。

「悠仁くん……僕、悠仁くんたちと一緒にいていいの……?」
「いいよ。むしろいさせてよ。俺はAと一緒にいたい」

悠仁の頬をその薄い手で包み、うわ言のように一緒、一緒と呟く。
そのうちにAを中心に渦巻いていく黒い霧が現れる。

宿儺の霧とは違い、質量を持ったどろりとした霧。

「っ!!虎杖!」

「伏黒、これが今の俺の幸せだよ」

伏黒を見て微笑んだ悠仁。
そんな悠仁の視線を追いかけたAの視界が覆われた。

「俺の、では無い。俺も含めろ」

第三者の聞きなれた声が聞こえる。と同時にAの視界いっぱいに真っ白な布がに広がった。

「ｹｹｯ。己が助けんとする対象に拒絶され、その理由を排除しに来るか……。
性根が腐ったな。術師どもよ」

「お前にだけは言われたくない……」

「ホーンと。困っちゃうよね〜。僕が持ってた指も持ってかれちゃうし。
2人とも実態持っちゃったし。勝ち目ないよ。これ」

白い布の向こう側

五条と宿儺も合流し、宿儺と悠仁はAを庇うようにたった。

Aは立ち上がる。

2人の衣服を引っ張った。
そして要求する

「二人とも……僕も見せてよ……僕にも二人の世界を見せて……」

二人の前に立たせろと。