僕の名前を言ってご覧。【呪術廻戦】【男主】 (ページ22)

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「A、お疲れ様」

釘崎さん達と別れて飲み物を買いに自販機へ向かった。

そこでにっこりと笑いかけてくれたのは夏油先生だった。

「夏油先生……」

なんだかほっとしてしまう。この人の空気は柔らかい。
僕(コミュ障)でも話しかけられる位には。

あ。僕は一人きりの対人に激弱だ。
まっっっっっったく知らない、これからも関わることがない人だったら大丈夫なんだけどね……

「Aの実力はわかった。明日からは力がなくてもできる戦闘を学んでいこうね」
「良かった……これでぎっちり体力強化とかだったら死んでました……」

Aのほっとした様子にクスリと笑いを漏らしながらいつの間に買ったのかスポーツ飲料を渡す。

「ありがとうございます……」
「いえいえ。
でも刀の使い方は悪くなかった。
将来呪具を使うことも視野に入れて筋力トレーニングが必要だと思うけどな」

う。と呻きｶﾞﾝﾊﾞﾘﾏｽと片言で返した。

「所で、なんでAはここに?
聞いた話だともう行っていた高校があるんだろう?」

ベンチに座るよう促されて大人しく腰掛け、夏油の問いにうーん、と悩む素振りを見せる。

「僕の望みを叶えたかったから……」
「望み?」

学長と同じ反応で思わず笑う。
でも面接じゃないし言ってもいいよね。

スポーツ飲料を飲んで、歌うように告げる。

「僕ね、非日常が好きなんです。
何も無い、のんびりした生活も好きだけど、今まで経験したことない、他が感じたことの無い……そんな事をやってみたい」

唯一になりたいんです。

そう言った。

「唯一……か…」
「そう。綺麗事かもしれない。もしかしたら餓鬼が願望垂れ流してるだけの滑稽な姿かもしれない。
けど僕は……(あんなクソみたいな)人間の中から飛び出したかった」

だから来たんです。
にこ、と笑いかければそうなんだね。と返してくれる。

「あとは……まぁ色々打算込みですね」
「君……結構頭回るよね」
「そんな。僕は脳みそ足りない人間なんで……」

「馬鹿と愚図、阿保は別物なんだよ」

真剣な声音。

「ふふっ、覚えておきますね」
「あぁ。そうしてくれ」

夏油先生。僕この先生好きだ。