遊び行コ！ 7/13記 ページ3
「△△〜、△△に到着です。○○線をご利用のお客様は〜……」
間延びしたアナウンスと共にドアが開くと、澪は座席を立ち、イヤホンを外して電車を降りた。ホームの時計は十一時三十三分を指している。
「(ちょっと早く来すぎたかも。時間まであと三十分くらいあるなあ……)」
改札を出て、駅前のベンチに適当に腰掛ける。メッセージを送ろうかと思ったが、急かすようで良くないかとも考えて止めておいた。
澪は今、あのミヒャエルを待っている。連絡先は一回目の共演の後に交換したが、社交辞令のようなメッセージ以上は何を送っていいのか分からず、放置してしまっていた。人付き合いがあまり好きじゃない自覚はある。なのにミヒャエルと「仲良くなりたい」ような気持ちがあるのは、多分「ファンとして」なのだろう。それで先週、三回目の共演後。
「あ…あの……、ミヒャエルさん」
「ン、アレ？ どうしたんですカ？」
だぼっとしたその私服の袖を、軽く掴んで呼び止める。振り向いた屈託のなさそうな笑顔も声も、ファンとして知っているのと同じものだ。でもその不慣れそうな敬語が自分だけに向けられていると考えると、今更ながら少しどぎまぎして早口気味になる。
「あ…、えっと、今週の土曜日、とか、空いてますか？ 休みでもし暇だったらご飯とか行きませんか？ ……あ、いや、難しいなら全然いいですけど……」
同じ事務所だから、休日くらい実は既に調べてある。断られることも一応覚悟はしているけれど、休みだと分かった上で断られたら余計ちょっと傷つくかもしれない。けれどもそんな心配はすぐに杞憂として消えた。
「エ、行きたいでス！ その日ちょうど練習とかもないシ！」
「っえ、…いいんですか？」
「てか俺も誘おうとしてたのに休み分かんなくテ！ あとメッセージあんまり来ないから嫌われたのかなとカ……」
流石に口には出さないけれど、そういう事を気にするのが少し意外で。
「鈴宮さーん？」
「ア、いまスー！ ……じゃア、またLINEデ」
「ん、それじゃあ…」
今更ながら思い出したように袖を離すと、彼は軽く目礼をしてスタッフの方へ走って行った。その日はそんなこんなで解散して、その後で時間を合わせて。それで今に至ったのである。
しばらくゲームをして時間を潰していると、ポロン、と通知が出た。
「西口でしたっけ!?」
「今東口前のベンチにいます」
「急ぎます！」
「僕が早く着いただけなので全然……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!!更新いたしました！本当に申し訳ございませんでした！ (2022年9月20日 13時) (
レス) id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - アルフさん» ワ、ありがとうございます！ 和癒さんの澪くんは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/2nayu2/】、うちのミヒャエルは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kokoridora6/】にCSがあります…！ (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 和癒さん» 全然！！ 私も最近学校の部誌作るのでてんやわんやしてて… 来週までには落ち着くのでそしたらまた書きます！ (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
アルフ - すみません、、とても面白かったのですが、出演しているキャラクターの設定などはありますか？いきなり質問すみません！ (2022年8月2日 10時) (レス) @page21 id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!! (2022年8月2日 8時) (レス) id: f702b299fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
