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「食材買ってきといてよかった。ミヒャん家の冷蔵庫、割と大きいのに飲み物と果物しか入ってないんだもん。お米はあるけど」
「俺意外と少食なんだヨ? 果物ばっか食べてるかモ。キッチン周り揃えたけどほぼ使ってないヤ」
「その身長で果物だけは無理あるってば」
あんまり間に受けていない様子で澪が笑うと、ミヒャエルもつられて、その気だるげな容姿に反しへにゃりとした笑顔を見せる。
「(ホント、大型犬みたいで……)」
この後には「かわいい」が続くのだろうか。それとも「放っておけない」が続くのだろうか。澪は一瞬生まれたそんなくだらない思考を振り払って、野菜を切った包丁を洗うと今度は鶏肉に手をつけた。ファンだった時にはしたことのない思考。ミヒャエルはといえば、動作を確認して満足したように、またスイッチを押してゲームを切る。
「澪、邪魔して悪いんだけド、ちょっと喉乾いたからなんか取ってくれなイ? 缶のヤツ」
「ん? べつにいいよ」
包丁を置いて手を洗い、冷蔵庫を開ける。ドアポケットには2Lの麦茶と炭酸水、あと牛乳。そして冷蔵室の半分位が缶の飲み物で埋められ、酒のボトルが二本。本来冷蔵庫にあっておかしくないはずのチーズとバジルがポツンと置かれ、逆に場違いに見える。
「……あ、これお酒だ。これも。他のは……、……?? ミヒャ、缶のやつってお酒しかなくない?」
「そうだヨ? 別にどれでもいいヨ、一本なら酔わないシ。……ア、澪お酒じゃないやつなら勝手に飲んでいいかラ」
「そうじゃなくて……。喉乾いてるんでしょ? お酒は水分補給にならない、とか聞かない?」
「エ」
ごく当然なことを言ったのに硬直されて、毒気を抜かれるのと一緒についため息が出た。イラついた、というよりは、純粋に心配するな気持ちだ。ミヒャエルはなんとなく「怒られが発生」を予知たような困り眉だ。
「ミヒャさ〜〜〜……、ホントによく一人暮らしできてるよね。僕が親だったら絶対止めてる」
「アハハ。エ〜?」
「とにかくお酒で水分補給はダメ。お茶だったら注いであげるけど」
ミヒャエルがこっくりとうなずくと、澪は適当なコップを取ってお茶を注ぎ、カウンターに滑らせた。
「ン〜、アリガト」
少し不服そうな声。コップを持つ手と、音を立てずに液体を飲みこむ喉。やっぱり自分より年上なんだ、と妙な実感が湧く。
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和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!!更新いたしました!本当に申し訳ございませんでした! (2022年9月20日 13時) (レス) id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - アルフさん» ワ、ありがとうございます! 和癒さんの澪くんは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/2nayu2/】、うちのミヒャエルは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kokoridora6/】にCSがあります…! (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 和癒さん» 全然!! 私も最近学校の部誌作るのでてんやわんやしてて… 来週までには落ち着くのでそしたらまた書きます! (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
アルフ - すみません、、とても面白かったのですが、出演しているキャラクターの設定などはありますか?いきなり質問すみません! (2022年8月2日 10時) (レス) @page21 id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!! (2022年8月2日 8時) (レス) id: f702b299fb (このIDを非表示/違反報告)
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