九香 ページ11
「ふぅん…、なら、今此処で接吻していい?」
『………んぁ?』
接吻を迫られた。
あのね、恋人にも順序があるんです。
あ、まだ恋人じゃないのか。
……ん?
恋人、じゃない………?
『そうだ!太宰さん、付き合いましょう!』
「は?」
この時の私は、羞恥と緊張で頭が逝っていたのかもしれない。
否、きっとそうだろう。
そうであってほしい。
『恋人になったら、接吻とか普通じゃないですか!そ、それで解決で、んむっ?!』
云い終わる前に口を塞がれた。
あ、勿論手で。
太宰さんは、不機嫌そうな、でも何処か笑みを浮かべた顔をしていた。
否、私の莫迦さに呆れて笑っているのか。
「良いよ、私、君の恋人になる。」
『んんむ?!』
「うん、本当。でも、_______」
太宰さんは再び黒い笑みを浮かべた。
それと同時に大量のフェロモンが私を襲う。
そのフェロモンの量は、生きてきた中で、もっとも強く、思わず腰が抜けてしまいそうだ。
すると私の口を覆った手が取られる。
然し声を出す前に、再び口を塞がれた。
出そうとした声は喉で引っ掛かるように留まり、声にならない声となる。
『ッ?!』
柔らかい、今まで触れたことのない何かが、私の唇に中る。
突然の事に、思わず目を瞑ってしまうも、何をされたかはちゃんと判ってしまった。
「んっ……唯の"恋人関係"じゃあ、終わらせないから。」
離れた唇に、太宰さんの細い指先がピトッと当てられる。
そして舌をペロッとして、私の顎を掬った。
『き、キス…………!』
「あ、赤くなった。」
紅潮すると、面白そうに呟く。
待って、マッツェイ。
私、今のがファーストキスだったんですね。
そう思うと、ますます顔が熱くなるのが判った。
「恋人だから、キスとか普通にするからね」
"恋人だから"
なんて強力な魔法の言葉なのだろう。
パチンッとウインクをすると、腕を壁から離して私の手を取った。
そしてそのまま引き寄せると、私はすっぽりとはまって彼の腕の中。
「こうしてみると、案外小さいものだね。」
『五月蝿いです。』
甘い匂いがする。
頭に回って、まるで薬でも使ったような感覚。
これを毎日摂取しろと。
…躯、持つかなァ…………。
「好きだよ。」
甘い声が頭に響く。
いつか、声だけで達してしまわれそうだ。
『……私、もです。』
ギュッと抱き締め返す。
太宰さんのフェロモンで、私の頭は既に麻痺していそうだ。
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ゆら(プロフ) - 棒緑カエル軍曹ってあれですよね!?あれ私も大好きです!! (2023年2月16日 20時) (レス) @page45 id: 9fa1b4957f (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - イージストさん» ご意見ありがとうございます。えと、少し考えてみます笑私もこの作品が好きなのでそう言うような形で続けられれば嬉しいですし。 (2019年2月27日 16時) (レス) id: 311cf89819 (このIDを非表示/違反報告)
イージスト(プロフ) - これの中也バージョン見たいかも (2019年2月27日 15時) (レス) id: d35fbbbafd (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 博識のうさぎ(仮)さん» これからも、様々な小説で陰ながらこっそりと拝見させて、応援させて頂きます! (2018年12月10日 22時) (レス) id: 09928c8e9d (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - サキさん» ありがとうございます!更新頑張ります!こちらこそここまで読んでくださりありがとうございました! (2018年12月10日 20時) (レス) id: e5b267ef9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:博識のうさぎ(仮) | 作者ホームページ:
作成日時:2018年8月14日 9時