【QK】取扱説明書【短編集】 (ページ7)

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弱ってる子2 #ymmt ページ7

最近彼女と同棲を始めた。
付き合って長いしね、とどちらともなく同棲の話が持ち上がり、トントン拍子で同棲が決まった。

「ただいまー」

今日はAは在宅勤務だったから家にいるはずなのに明かりがついていない。
買い物にでも行っているのだろうか。
と靴を確認するが、普段履いている靴がある。
心配になって部屋に上がり電気をつけると、テーブルの上に仕事道具がそのままになっていた。

「A～？」

もしかして、と思い寝室を覗くと毛布がこんもり盛り上がっていた。

「A」

「ん、祥彰」

「ただいま」

「おかえり、ごめん寝ちゃった」

そう言って体を起こすと顔を歪める彼女。

「今何時？」

「今ね、5時半。大丈夫？」

「ちょっと、頭痛くて」

Aは指でこめかみを抑えた。
そういえばいつだかに頭痛持ちだ、と言っていたっけ。

「大丈夫！？」

かなり痛いのか、心配になる。
どうしたらいいかわからず慌ててしまう。

「ふふ、大丈夫だから。でもごめん、ご飯は作れなさそうだから祥彰だけ適当に食べててくれないかな」

そうして彼女はまた枕に頭を沈めた。

と、言われてもA抜きでご飯を食べる気にもなれない。
だからと言って自分で作ることもできそうになく、とにかく何か食べるものを、とコンビニへ出かけた。

幸にお粥が売っていたのでそれと、食欲がなくても食べられるようゼリーと、自分用に何か適当に買って部屋へ戻った。
買い物から戻っても規則正しい寝息をたてている彼女を横目にいつも彼女がやってくれている洗濯物を畳む。
家事は基本分担しているが、家に戻るのが遅いことが多い僕の代わりに平日は大部分を彼女は担ってくれている。

しばらく動画を見たりしながら時間をつぶしていると寝室のドアが開き、彼女が顔を出した。

「気分どう？」

「だいぶいいよ」

「ご飯食べられそう？」

「うん」

彼女の返事に安堵した僕は先程買ってきたものを取り出した。

「じゃあ、一緒に食べよ」

「え、待っててくれたの？」

そうだよ、と言うと嬉しそうに、でも申し訳なさそうに笑う彼女。
いいから、と促して椅子に座らせる。

「洗濯物も、畳んでくれたの？ありがとね」

「こちらこそ、いつもやってくれてありがとね。困った時はお互い様なんだから、頼ってね」

「ありがと」

食卓の上に並べられている食事はいつもAが作ってくれるものよりはちょっとだけ質素だけど、こんな日があってもいいよね。