準備する子 #sgi ページ15
今日は久々に外へデートに行くことになり、頑張って朝起きて今は彼女の準備待ち。
一緒に住み始めると家デートが増え、なかなか外に出ることが億劫になりがちだったが、今日は1日休みで天気も良さそうなので外に出ようとなった。
「Aちゃーん、そろそろ終わりそ?」
「うん、あとちょっと」
彼女に声をかけると奥の部屋から返事が返ってくる。
女の子は準備がいろいろあって大変だなあ、とさっさと身支度を終えた俺はソファに座ってYouTubeを観ていた。
「これとこれどっちが好き?」
奥の部屋から出てきてアクセサリーを二つ並べる彼女。
こっちかな、なんて答えてるけど、久しぶりに見たフルメイクの彼女に思わず胸が高鳴る。
スッピンも可愛いけれど、きちんと髪やメイクを整えている彼女は言わずもがな綺麗だ。
「A、綺麗だね。」
「え?何、もう」
俺が褒めるといつも通り照れ隠しで顔を背ける彼女。
そう言うところも可愛いのだが。
「はい、準備できました。」
先ほど選んだアクセサリーをつけて、香水をワンプッシュかけるとお待たせ、とカバンに荷物をつめている。
その手元を見ながら、何か足りないような気がした。
「あれ、リップは?」
よく見ると唇の色が外出するにしては薄い。
何もつけてないのだろう。
「ん?リップは最後だよ」
彼女は何言ってんの、とでも言いたげに俺の方へ来て隣に座った。
はい、と目を瞑った彼女にほとんど反射的にその薄ピンクの唇に自分のそれを重ねた。
「はい、じゃあリップ塗ります」
「ちゅーするのにリップ塗ってなかったの?」
「そうだけど。嫌でしょ?リップつくの」
当たり前のようにサラッと言う彼女。
なんだそれは。かわいすぎる。キスする前提でわざとリップを塗らなかったのか。
そんなことを言われて一回で終われるほど俺は子供じゃない。
「じゃあさ、もうちょっといいでしょ」
腰を引き寄せると、彼女は少しだけ瞳を震わせた。
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作者名:シロ | 作成日時:2020年11月11日 13時