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HS side
「なあ、ホソク。」
友人が僕の名前を呼んだ。
『ん?なに?』
「お前、また剣術試験 1位だったんだって?」
『…うん、そうだよ。』
「まじで!?
やっぱ、ホソクはすげーなあ。」
そう、友人は言った。
『…そんなこと、ないよ。』
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10年前…
僕は、平民の生まれだった。
小さい頃から、
父が統率している小さな部隊に交ざって剣を学んでいた。
平民でありながら、部隊の統率者に選ばれ、
周りから慕われていた父は僕の誇りであり、
目標だった。
バタンッ…
『あ!おかえり!
父さん!』
「ホソガー!ただいま!
いい子にしてたか?」
『うん!
今日はね、剣の稽古をした後に
母さんの料理の手伝いをしたんだ!
母さんに上手だねって褒められた!』
「そうか!そうか!
ホソガは俺の自慢の息子だな!」
− いつか父さんみたいな立派な剣士になりたい。
− そして、
父さんと、部隊のみんなと一緒に村の人達を
守りたい。
___ある、雪が降る寒い冬の朝だった。
『行ってらっしゃい!父さん!』
「おう!ホソガ!
いい子にして待っとけよ!」
『うん!』
…バタンッ…
父さんはその日もいつもと同じように仕事に出かけた。
「ホソガ。」
『母さん!どうしたの?』
「あなた宛に手紙が届いてたわよ。」
『ん?
パサッ…
…え!?』
「どうしたの?」
『か、母さん…。
…僕、剣術試験 1位だって!』
「まあ!ほんとに!?」
『うん!』
父さんが帰って来たらすぐに知らせないと!!
父さん…きっと喜ぶだろうなあ…!
でも、
その日、
父さんは帰ってこなかった。
"隊長がお亡くなりになられました。"
数日後、
父さんが帰ってくる代わりに家にやって来たのは、
知らない男の人だった。
『…え…?』
この人は何を言ってるんだろう。
…亡くなった?
…父さんが?
…部隊のみんなは?
"隊長の部隊は…"
その後の言葉は、もう僕の耳には届かなかった。
明るく僕を照らしていた光は、
ある日突然、
消えた。
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作者名:しろ | 作成日時:2020年10月19日 0時