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噂のアノ娘と蜂鳥 ページ5

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雨の客船強盗。


じっとりした空気にうんざりしながらも定位置について銃を構える。


肌に刺さるような緊張感の中、一つの足音も聞き逃さないように耳をすませば、鬱陶しい雨音が耳を刺す。
今日あまり集中できないのはこのせいだろう。


私の配置は最強部屋。
この犯罪の成功を左右する重要な場所だ。


犯罪が進むにつれ、無線から一人、二人と人が減っていく。

雨音の奥から聞こえる足音もだんだん近く、大きくなっていく。どうやらすぐ近くにいるらしい。

ちらりと視界の端に人が見えたと思えば、銃弾が頬を掠める。

こちらも打ち返して応戦しつつ、あちらの様子を伺えばツーマンセルで向かって来ているようだった


面倒だななんて思いながらリロードして何発か人が見えた方向に威嚇射撃。
ジリジリとその場に張りつめた殺意が肌を焼いた。


このまま打ち合いを続けていても埒が明かなそうだから、一つかけに出てみようか。
懐にあるグレネードを確認し、脳内でシュミレーションをする。


1人持って行けたらラッキィ。2人行けたら最高。

タイミングは相手のリロードが終わってもう一度打ち始めるちょうどその時。さて、運試しと行こうか。


いつでも行けるようにピンに指をかけ、どんな一瞬でも見逃さないように目を凝らす。
銃声がやみ、リロードの音が聞こえる。

黒い鉄の引っ先がちらと覗いたのを見逃さず、すかさずピンを抜いてグレを投げ込んだ。


「わっ!!」


「っ!おい、大丈夫か?!」



小さな断末魔がひとつ。それを追うようにもう1人の声が重なる。倒れ込んだ1人に近寄るもう1人の頭にすかさずぶち込んだ。



“二人やった。残りは?”


“ナイス!今確認する”


警戒を解かないままゆっくりと最強部屋から様子を伺っていれば、しばらくして報告の声がとぶ。


“残りなし!撤収!“


やっと終わった。撤収したらささっとお風呂入ろう。


なんて思いながらダウンしている警察の横を通り過ぎようとした時だった。ばし、と足首が掴まれ足が止まった



「っ、、」



ダウンしたはずの女が私の足を掴んでいた。



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作者名:シリウス x他1人 | 作成日時:2024年3月10日 23時

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