＊けんか/リク ページ6
･公表後、婚約前
それはある日の彼のストーリーだった。
可愛い可愛い後輩ちゃんと距離が近いツーショが上がってる。
だけならまだ良かった。
けど、わざわざストーリーで「応援してるよ」まで載せてて。
『……は？』
自分でも驚くような声が出たのは分かる。
でもそれどころじゃない。
『なんなのあいつ』
北人「どうしたのA……ってあー、それ」
『勝手に見ないで』
北人「ごめんこめん」
最初はモヤモヤだったのが、だんだんイライラしてきて。
思わず気を使ってくれた北人に当たってしまった。
『北人、』
北人「A、謝っちゃダメ。
これはAが思って当然の感情だから」
『………』
北人「Aにはそれが許されてるんだから」
北人はそう言ってくれて、その時はどうにか怒りを沈めた。
でも、家に帰って何も無いような態度の壱馬に腹が立って、
二人でご飯食べてる時に話すことにした。
『ねぇ、私に喧嘩売ってたりする？』
壱馬「は？喧嘩？何の話？」
『わざわざ応援してるよ、なんてまで載せてさ、あれ必要なの？
なんなのあれ、そこまで壱馬が言う必要ある？』
壱馬「……やる必要ってか、後輩やからさ。
普通に先輩としてのメッセージというか」
『何、あの子に気でもあるの？』
壱馬「は？無いに決まっとるやん。
何そんなイライラしとんの」
『するに決まってんじゃん。
私が他の人とあの距離で話してたら切れるあんたに、
なんでそうやって逆ギレされてんの？』
壱馬「別に逆ギレしてんやん。
あの子も色々悩んでたようやから、
無理せんでってつもりだっただけで」
『だから、なんでそれを壱馬が送ってんのって言ってんの』
壱馬は眉間に皺を寄せる程度。
でも私は、イライラが抑えられなくて、
本当にそのつもりが無いかもしれない彼に当たり散らしてて。
『何、ずっと一緒に居た私より、若いあの子に刺激でもあった？
だからそうやって冷静に言えんの？』
壱馬「やから、そういうつもりやないって。
純粋に応援するのもあかんの？」
『もう話になんない。
私が居る壱馬がやる必要ないことをやらないでよって、
そう言ってるだけなのに』
壱馬「ちょっ」
『来ないで』
私はご飯の最中だけど、席を立って脱衣所にこもった。
ドアに凭れて、天井を見上げて虚しくなる。
こんなんだからダメなのに。
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作者名：雪乃
| 作成日時：2024年7月17日 15時
