二十九生 ページ31
「そう言えば、手首とかどう？」
「そろそろですかね」
『A君、処置をした場所はどうですか？』
忘れてた、と手首を見つめれば、特に痛みはない。
包帯が巻いてある違和感があるだけで、ひりひりした感じも、ぽかぽかとした温かさもない。
…温かさがなくなったのは少し寂しいけど…
「心做しかしゅんってしてへん？」
「何が嫌なんやろ」
「エミさん、A君何か言っとった？」
「い、いえ、特には…」
おろおろと何やら慌てた様子のえーみーるさん達。
…何かあったのかな、なんてぼんやりと思いながら手首に巻かれていたそれを外す。
擦れてた赤い跡が綺麗さっぱりと消えていて、思わず小さく声を漏らした。
「うん、いい感じやね。
それじゃ、お風呂入ろっか」
「ちょぉまて、しんぺいさんが入れるん？」
「そのつもりだけど？」
「あかん」
「A君が危ない」
「しんぺい神やっぱり…」
「いい加減にせぇへんと薬ぶち込むで」
心做しか背筋がぞくっとした。
なんでだろう…
不思議に思って首をかしげつつ何やら討論をしているかみさまたちを見つめていれば、脇に手を入れられ、そのままひょいっ、と持ち上げられる。
「ぎゃーぎゃー喧しいなぁ。
人間君もそう思うやろ。」
華奢だと思っていた腕の中にすっぽりとはまっている。
首だけを動かせば、綺麗なアメジストと目が合った。
その目元は優しく細められていて、その優しさに何だか擽ったさを感じる。
「兄さん、終わらなさそうなんで俺たちで入れちゃいましょ」
「いい案やな外資系君。
この人間君名前なんやっけ？」
「Aです。
今のところエミさんが通訳っすね」
「ニホンゴはかなり昔に習得したんやけどなぁ。」
絨毯が敷かれている廊下を、アメジストの人の腕の中に収まりながら移動する。
重くないのかな、なんて思いながら見上げても、戻ってくるのは微笑みだけ。
出てきた部屋からはまだ騒がしい声がしていた。
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紅蓮(プロフ) - 雨さんのお話を読んでて今まで一度も文字化けしてなかったのですが閑話休題の一番最後の言葉でゴリゴリ文字化けしてしまいました...単なるバグなのですかね、直ってほしいですね... (2020年2月15日 22時) (
レス) id: 110da38a3d (このIDを非表示/違反報告)
パピコ2(プロフ) - すごく面白いです、夢主君可愛いです！文字化けについては自分のとこは1回もなってませんので、雨さんの携帯は問題ないのではないでしょうか？ (2020年2月15日 21時) (レス) id: 193fecf580 (このIDを非表示/違反報告)
狐咬(プロフ) - とっても面白くて好きです。ばれんたいの話に一部文字化けがありました此方の不具合なら悪いのですが、確認お願いします。これからも応援してます (2020年2月15日 20時) (レス) id: 36c7a13f9b (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - コメント失礼します。番外編と二十九生に文字化けがありました。こちらはiPhoneですが、もしかしたらこちらの機種の不具合の可能性もありますが、確認をよろしくお願いします (2020年2月8日 1時) (レス) id: fa99c77dd8 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - なんだろ……スプラトゥーンのイカガール達並に癒される………可愛い…（遺言） (2020年2月1日 20時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨と無知@雨100％ | 作成日時：2020年1月6日 4時
