2度目の人生を謳歌します。【d!】

一頁 ページ3

「…α国の王女？」

「…あぁ。」

心底面倒そうに目を細めて頬杖を着いているグルさん。
バサリと投げるように机に置いたその書類に目をやれば、あっこの国の馬鹿王がこの国に自分の愛娘を向かわせたいらしい。
…いやめんど。
しかも来るのは今日から3日後。巫山戯てんのか。
部屋の用意、使用人に伝達、迎え入れの準備は色々ある。
勘弁して欲しい。ただでさえこの前狛犬共が壊した設備をトンつく隊で直せてないってのに。
…それに

「…A君どないすんねん。
あの子絶対目ぇ付けられるで」

「いくら王女とはいえ人の所有物に手を出すなんて馬鹿なこと…、…やりかねんな」

そうなってくると後々面倒だから誓約書でも作るか。
整備を壊した場合の請求、うちの隊員及び使用人への暴力行為等の禁止、…あと、A君への接触禁止。
これを1番先に作っておかないとやな。
グルさんやオスマンからも目を通して許可を貰って…

「トン氏、これに関しては俺もオスマンも全面協力をするから、お前一人で処理をするな。
文書の作成はお前に任せる。だが、部屋の用意などはひとらんなどに任せよう。」

「…すまん、また悪い癖が出たな。
そうしてもらうわ。文書作成し終わったら不備の確認等に来ますんで、よろしゅう頼んます。」

あぁ、とやけに真面目な目付きのまま返事をした彼の部屋から出る。
面倒事になった、なんて思いつつ、文書のレイアウトを考えて廊下を歩いていけば、窓の外をぼんやりと見つめるA君がいた。
シャオロンのお下がりの赤と白の縞シャツに、ゾムが買ったノースリーブジャケットパーカー、黒スキニー。
服にも体にも清潔感が出てきて、筋肉質になって肉付きもここに来た当初より良くなって、健康体と呼ぶに相応しくなった。
よく笑うようになり、感情が顕になることが多くなってきた。喜ばしいことだ。

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