21 ページ21
「うわあああ！」
ばさっ、と毛布がベッドから落ちる。
「うるさいぞ…」と同室のセオドール・ノットが寝返りを打ち、またすやすやと寝息をたてはじめた。
「ゆ、め…？」
良かった、夢だ。
ドラコは胸を撫で下ろす。彼の顔は、汗まみれだった。
時計を見れば、5時半を指している。まだ起きるには早いが、また寝付くこともできず、ドラコは着替え始めた。
寮を出ると、庭園へと向かう。別に、Aがいるわけないのだけれど。
彼は不安でしかたがなかった。
彼女が既にダンスのパートナーを決めてしまったんじゃないかと。2人だけの秘密の場所であった庭園に、彼女と他の男が2人でいるのではないかと。
薔薇のアーチをくぐれば、そこには誰もいなかった。
彼女がいないなんて分かりきっていたことだけれど、ドラコは少し寂しさを感じた。
「さすがに、いるわけないか…」
「…ドラコ？」
ドラコは驚き、勢いよく振り向いた。自分の名前を呼ぶ、自分の好きな人の声がしたからだ。
そこには、本当にAがいた。
「どうしてここに？」
会えるなんて思わなかったわ、とAは笑う。
形の良い彼女の唇は、ピンク色に艶めいていた。
ドラコは返答の代わりに、彼女を抱き締める。Aの肩に顔を埋め、ぐりぐりと顔を押し付けた。
「ド、ドラコ…？」
「好きだ」
「ええっ？」
「Aが好きだ」
「ドラコ、」
「何処にも行かないでくれ…」
「ど、どうしたの…？何処にも行かないわよ」
Aは困惑した。彼がこんなにも素直なのは珍しい。
同時に、顔を真っ赤に染め上げた。
昨夜はそういうムードだったが故に何も反応しなかったものの、やはり改めてそう言われると、なんだか照れ臭い。
「他の男と、ダンスパーティーに行ったりしないよな」
「…なんですって？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1077人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Alice(プロフ) - ダンスの誘い方やばすぎです！！もう深海さんの書き方好きすぎます！命がいくつあっても足りません(*´ཫ`*)このふたり永遠に幸せになれ！ (2023年3月1日 13時) (
レス) id: fa4665eb65 (このIDを非表示/違反報告)
ありもぎ - ヤバいです！私の心臓がもたないぐらいドッキドッキしてました！最高です！この作品に出会えて本当に良かったです！ (2022年3月28日 21時) (レス) @page42 id: 2f0ff669f2 (このIDを非表示/違反報告)
エマ - 読む手がとまらなかったです、、感動しました。深海さんが描くドラコの姿が本当に大好きです。 (2022年3月25日 18時) (レス) @page47 id: 6cc22acf6a (このIDを非表示/違反報告)
たにぴこ - 深海さんの書くマルフォイとの作品がこの作品に限らず大好きです。少し頼りないマルフォイと上品で芯のある主人公が大好物過ぎて最高です！！応援してます！ (2022年3月6日 17時) (レス) @page1 id: eef41b04d0 (このIDを非表示/違反報告)
u(プロフ) - 夢主とマルフォイの立ち位置が決まっていた理由までしっかりしていてもう本当に素晴らしいです…泣 (2021年2月23日 22時) (レス) id: 01ce421b84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：深海
| 作成日時：2020年11月12日 1時
