ニセモノ彼氏【五条悟】【虎杖悠仁】

流す涙は2人ぼっち ページ20

::



悟「･･･あの子は僕の彼女だ」


悠仁「うん、でも俺の大事な子でもあるよ」



.
.



ぶん殴りたい。切実にそう思った。
Aも、ずっとそう思ってたのかな。


.
.



悠仁「始めたのはそっちでしょ？先生。」


悟「それは＿＿＿っ」


悠仁「嫉妬させたかった、とか言わないよね」



.
.



全部見透かされてる。
気持ち悪い。自分も。悠仁も。


.
.



悠仁「俺が言うのもなんだけどさ。
先生って思ってたよりクズだね。」



.
.



自分の良いように考えて。捉えて。
見透かされて。生徒相手にキレて。


落ちていく手を追いかけず振らつかせる。
パスパスと聞こえる靴音にまた顔を歪めた。


.
.



悠仁「ピアスの意味、調べてみてね。」



.
.



静かに閉まる扉に、取り残される僕。
前に進むことは許されず、踵を返した。



.
.



悟「男性が左耳だけにつける理由は、
【 守る人 】

女性が右耳だけにつける理由は、
【 守られる人 】」



.
.



ぽそりと消えていく声。
関係性に気付く心は締めついていく。


もう2人は互いが互いを必要としてるんだと。
遠回しにそう告げられているように思えた。



.
.



悟「･･･っんだ、これ」



.
.



ぽたっ、ぽたたっ。
水滴が画面に落ちる。

指に当たって生暖かいと感じた。
目尻が痛くて堪んないと理解した。



.
.



悟「･･･はっ。自業自得すぎて笑える、」



.
.



自分と同じ事をAがしてるかもしれない
いや多分してる。

それがどんどん胸を蝕んでいく。
嫌だ。辞めて。虫のいい話だ。



.
.



悟「何やってんだ･･･俺。」



.
.


悠仁が出てくると思ってなかった。
Aが乗ると思ってなかった。


.
.



悟「く、っそ･･･っ、くそくそくそくそっ！」



.
.


悠仁がああだとは思わなかった。
Aが自分以外を見るとは思わなかった。


.
.



悟「ああああああああ･･･っ！！！」



.
.



全てが狡い考えで、全てが馬鹿らしい。
ただの言い訳。自分の甘え。


1人部屋で頭を抱えて叫ぶだけしかできない
ベッドにめり込む身体は次第に素直になっていく



.
.


悟「ご、め･･っ、ごめん、っA･･･っ」


.
.



謝るならやるなよ。



.
.



悟「ごめ･･･っ」



.
.



泣くのはお前じゃねぇだろ。



.
.



悟「お願いだから･･･帰ってきて、っ」



.
.






ああ、正論が俺を蝕んでいく。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す