彼の低い声 ページ8
「ここまで知ってる俺がなんの対策もしてないと思ってる？」
「は？」
「俺は今、もてるすべての情報をある人物に預けている。俺が死んだらそれが公開される手はずになっているから俺に対する行動は気をつけた方が良い」
ゾムは眉を寄せたあと、しばらく考え込むようにこめかみを指で叩いた。
「………成る程な、あんたの方が一枚上やったな」
実際、全くのはったりというわけではない。多少盛ってはいるが、自分が死んだらショッピが教えた情報を全て公開するだろう。
諦めたようにゾムは肩をすくめた。
「で、俺は何をすれば良いんや？」
「えっと……」
逃がしてくれればそれでいいだけなんだけど……
そういうわけにもいかないだろう。
今の彼は『逃がしてくれれば……』では絶対に納得しない。
Aはキッと顔を上げた。
「ゾムは私が女だって気づいてるでしょ？」
「うん」
そこに迷いはなかった。やはりバレていたのだ。ゲーム内でも察しがいい方のゾム。それに暗殺者なのだから尚更。
ゾムにとって性別を見分けるなんでいとも容易い事だろう
Aは凜とした声で告げる。
「私はとある事情で男としてここにいるの。だから、私が女だって言うことは黙っていて。特にあの人には。
その代わり、私も君の秘密を守るわ」
あの人、即ちAの婚約者でもありラスボスだと言っても過言ではない男。グルッペン・フューラーである。
Aもといルシウスは学園に入ってからというものの全く顔を合わせないようにして過ごしていたからである。
それに、ゾム以上に勘が鋭いグルッペンならルシウスを見つけ次第何をしてくるか分からない。
「ふーん。それだけでええんか？」
拍子抜けしたような顔でゾムはAを見る。
「それだけだけど。
……もっとふっかけた方が良かった？」
「いや？」
肩をすくめる彼はもういつものひょうきん者に戻っていた。
そして楽しそうな悪戯っ子のような表情で言った。
「ヒヒッ、ルシウスやったっけか？気に入ったわ。
今日から俺らは共犯者や、宜しくな」
「う、うん」
選択。間違ったかな……
そうは思いながらも、Aは差し出してきたゾムの手をとるしかなかった。
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シアン - (∂ω＜)-★さん» 惚れたなんていってくれて嬉しいですっ（はぁと）応援ありがとうございます！更新がんばりますね。 (2021年2月20日 14時) (
レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
(∂ω＜)-★ - え。惚れた。良ければ俺とお話しませんか?ﾊｧﾄ(痛い)これからも頑張ってくださいっす！応援してやす！^ω^ (2021年2月19日 23時) (レス) id: 783e49e84a (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 夕凪さん» コメントありがとうございます！ついにいってしまいましたね笑笑 今後の展開に是非ご期待下さい！ (2021年2月14日 10時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 - ((＾ω＾≡＾ω＜ｷﾞｬｱｱｱｱｱｱｱついに、ついに！syo君が好きって言っちゃったよ!? (2021年2月14日 7時) (レス) id: a0f47df358 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 紅鴇@端末垢さん» いえいえ、いつもお褒めの言葉とともにコメントしてくださっていてとても嬉しいです。よかったらこれからもみてくださると嬉しいです！いつも本当にありがとうございます！ (2021年2月13日 20時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シアン | 作成日時：2021年2月4日 23時
