絶望的な高さとヒーロー ページ48
「どうすればいいの……」
先ほど進もうと言っていた方向は、もう炎に包まれている。
Aはカトレアを背負った。
今自分が無事なのは彼女のおかげなのだ。おいていけるはずがなかった。
体重がかかった瞬間に、右足首に痛みが走る。
右足首は赤く腫れていた。先ほど突き飛ばされたときにひねったのだろう。しかし、カトレアに比べれば軽傷だった。
やっぱりあの時わたしが丸太を受けてれば……
そんな後悔ばかり考えつつどうにか足を運ぶ
「とりあえず、武器庫の奥に……」
このまま進んでもじり貧だと言うことはわかっていた。けれど炎から逃れるためには進むしかない。
きっと主にオーロラで守れるのは物理攻撃だけで、煙や炎の熱は対象外だということ。
ひょこひょこと武器庫の奥に行く。窓でもあるかもしれないと少し期待したからだ。
しかし――
「嘘でしょ……」
確かにそこには窓があった。採光のためだけの窓なので四角いステンドグラスがはめ込まれているが、そのステンドグラスを割ってしまえば開口部も申し分ない窓である。
「でも、こんなの、無理じゃないの……」
けれど、その窓はとんでもなく高い位置にあった。Aが二人いてもきっと届かないほどに高い位置だ。
一人でも到底届かない。足首をひねり、カトレアを背負った状態では、その高さは絶望的だった。
「どうしよう……」
辺りを煙が覆い始める。
カトレアが頭を乗せている肩には血が伝った。
Aは先ほど取り戻した私物のハンカチを彼女の出血部分に当てる。血がにじみ、すぐに患部とくっついた。
「ルシウス！」
その声が聞こえた瞬間、見上げていたステンドグラスが割れた。
そして、ほとんど自然落下の勢いで誰かが降りてくる。
「ゾムっ！？」
そこにはロープのような紐をもつ様の姿があった。いつもの笑みはなりを潜め、真剣な表情を浮かべている。
彼はAを目にとめると、駆け寄ってきた。
「大丈夫か！？うちの連中が馬鹿やったって聞いたんやけど」
「私は大丈夫だけど……」
ゾムの視線はAから背中でぐったりとするカトレアに移された。
ゾムの顔に動揺が広がる。彼にとって、カトレアは母であり、父であり、姉であるのだ。
そんな彼女の悲惨な姿を目の当たりにして、動揺しないわけがない。
ゾムは数秒間固まった後、すぐ向き直った。
「ここから逃げるで！」
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シアン - (∂ω＜)-★さん» 惚れたなんていってくれて嬉しいですっ（はぁと）応援ありがとうございます！更新がんばりますね。 (2021年2月20日 14時) (
レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
(∂ω＜)-★ - え。惚れた。良ければ俺とお話しませんか?ﾊｧﾄ(痛い)これからも頑張ってくださいっす！応援してやす！^ω^ (2021年2月19日 23時) (レス) id: 783e49e84a (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 夕凪さん» コメントありがとうございます！ついにいってしまいましたね笑笑 今後の展開に是非ご期待下さい！ (2021年2月14日 10時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 - ((＾ω＾≡＾ω＜ｷﾞｬｱｱｱｱｱｱｱついに、ついに！syo君が好きって言っちゃったよ!? (2021年2月14日 7時) (レス) id: a0f47df358 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 紅鴇@端末垢さん» いえいえ、いつもお褒めの言葉とともにコメントしてくださっていてとても嬉しいです。よかったらこれからもみてくださると嬉しいです！いつも本当にありがとうございます！ (2021年2月13日 20時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シアン | 作成日時：2021年2月4日 23時
