唐突な裏切り ページ46
「ま、もう選んでるなら話は早いね。……ついておいで。学園まで送るよ」
カトレアが先頭を切り、扉に手をかけた。
しかし――
「あれ？」
「どうしたんですか？」
「扉が開かない」
彼女はそのまま何度かドアノブをガチャガチャと鳴らした。
そうこうしているうちに、扉の隙間から灰色の煙がゆっくりと侵入してくる。扉に手を当ててみれば、ほんのりと温かかった。
「ははっ、しくじったね……」
そう固い声を出したカトレアの輪郭に、冷や汗が伝う。
焦ったような表情で下唇を噛みしめ、彼女はAに向かって声を上げた。
「そこどいてな！」
いわれた通りに身体を横にずらした次の瞬間、カトレアが扉に体当たりした。
けたたましい音とともに扉は蝶番ごと外れ、外側に倒れた。
「どうやら、ハメられたようだね」
廊下には火と煙が充満していた。煌々とした炎はカーテンや木の部分に燃え広がっている。
Aの背筋は凍った。
「これは…？」
「火事というか、放火だろうね。手に余る者同士まとめて処分しようという腹だろう」
「……？」
カトレアは要領を得ないとばかりに首をひねるAの鼻をつまんだ。
「アンタを拐ってきたのは手違いでよく考えたら怖くなってきたし私と一緒に消そうって事」
「えぇ！？」
Aはひっくり返った声を上げる。
「ここで私がアンタと一緒に死ねば、罪を全部私になすりつけることができるし、うまくいけば組織ごと乗っ取れるからね。馬鹿が考えそうなことだよ」
「首領！」
炎の向こうで、彼女の部下らしき男が叫んだ。助けに来たいようだが、炎と煙に邪魔されてこれないらしい。
カトレアは出口の方を指さした。
「アンタたちは先に逃げな！私も後で追う」
「でも！」
「早くしな！！」
「……わかりました。どうかご無事で！」
「アンタらもね！」
カトレアは部下にとって良い上司なのだろう。彼らは悔しげな表情で目の前を通り過ぎていった。
「さてどうするかね。アンタと私を蒸し焼きにするために火がつけられてるね。こりゃ武器庫までつけられたか」
さすがに彼女も焦っているようだった。
二階に続く階段も目の前の廊下も火がつけられている。窓は炎の奥なので、窓から逃げることも叶わない。
武器庫の奥に行けばまだ火から逃げられるだろうが、行く先は行き止まりだ。せいぜい時間稼ぎぐらいにしかならないだろう。
「アンタ大丈夫かい？顔が真っ青だよ」
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シアン - (∂ω＜)-★さん» 惚れたなんていってくれて嬉しいですっ（はぁと）応援ありがとうございます！更新がんばりますね。 (2021年2月20日 14時) (
レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
(∂ω＜)-★ - え。惚れた。良ければ俺とお話しませんか?ﾊｧﾄ(痛い)これからも頑張ってくださいっす！応援してやす！^ω^ (2021年2月19日 23時) (レス) id: 783e49e84a (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 夕凪さん» コメントありがとうございます！ついにいってしまいましたね笑笑 今後の展開に是非ご期待下さい！ (2021年2月14日 10時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 - ((＾ω＾≡＾ω＜ｷﾞｬｱｱｱｱｱｱｱついに、ついに！syo君が好きって言っちゃったよ!? (2021年2月14日 7時) (レス) id: a0f47df358 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 紅鴇@端末垢さん» いえいえ、いつもお褒めの言葉とともにコメントしてくださっていてとても嬉しいです。よかったらこれからもみてくださると嬉しいです！いつも本当にありがとうございます！ (2021年2月13日 20時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シアン | 作成日時：2021年2月4日 23時
