【wrwrd】転生悪役令嬢は男装を嗜む２

順調にはいかない ページ32

その日の夜、シャワーを浴びたA寮の自室から窓の外を眺めていた。


空には星が瞬き、頬を撫でる風は生暖かい。テストが終われば、楽しい夏休みが来る。


「今日は楽しかったなぁ」


　食事が終わったあと、四人でテスト勉強もした。先日のような緊張感はなく、今回のテスト勉強は実に有意義なものになった。


まぁ、二人はなかなか勉強する手が進まなくてわたしとショッピの邪魔ばっかりしてたんだけどね……


「テストもなんとかなりそうだし
順調、順ちょ……ん？」


　お花畑になっていた頭をはっと跳ね上げる。そしてある事実に気がつき、項垂れた。


アイリと誰とも恋愛させてないしこんなことしてる場合じゃないじゃん！


誘拐事件が起こらなかったのは良かったが、それはゾムのフラグを完全に折ってしまった事を意味していた。

結果的には恋を応援するどころか、また邪魔をしてしまった。


ま、ゲーム通りに進むのならって話なんだけどね…
少し行動の読めないアイリのことを思い出して一人苦笑いする。



その瞬間物音がした気がして、Aは寮の下をのぞき込んだ。

すると、向かい側の女子寮の方へ黒い影が蠢いているのが見て取れる。


「あれって、もしかして……」


　嫌な予感に突き動かされるようにAはベッドに放っていたカツラを手に取り、部屋を飛び出した。

蠢く影→←賑やかな食事

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