夜道 ページ39
「貴女の言った通りでした、彼らはプロです。おかげで最小限の威嚇で追い払うことができました」
「どういたしまして」
センリツさんの方へ振り返るクラピカの手に下がる鎖。
試験の時はこんな攻撃方法してなかったよね…?
「まもなく、列車は終点に到着いたします」
質問しようとしたところで、車内アナウンスが入ってしまった。…やっぱり今質問したらセンリツさんもいるし気まずいよね。後からにしよう
「二人とも、ご一緒してくれてありがとう。とても良い旅だったわ」
『あ、いえいえこちらこそです!』
クラピカに荷物を網棚から取ってもらったセンリツさんが、出口の扉を開く。
『また、会えたら嬉しいです!お気をつけて』
「ええ。またね」
小さな後ろ姿が暗闇の中に消えていく。彼女はどんな理由でこの夜行列車に乗り込んだのだろうか
「Aはこれからどこに向かうんだ?」
『ノストラード館。クラピカと、一緒だと思う』
冷たい風が通る駅のホーム。隣に並ぶクラピカを見上げる。
採用試験だし、館ではライバルになってしまうかもしれないな。
「仕事内容が就活……ノストラードファミリーに入り込むスパイ、といったところか」
『そうなるね。まあ受かったらの話だけど』
まだ何の指示もされていない。多分死ぬものと思われているのだろう
「宿はどこだ?」
『空いてるところ探すよ。急ぎで来たからさ』
なにせ鷲と犬を連れているからね。もうテントでも買っちゃおうかな
「まさかテントなど買うつもりじゃあるまいな?」
『はは、何で分かるんですかクラピカ先輩……』
バリバリ買うつもりでしたよ。ワンタッチのやつ
「山の麓に受験者用の宿が準備されているはずだ。試験案内見なかったのか?合流して良かったよ…」
『マジ神っす……』
呆れたように頭を押さえるクラピカの姿に、なんだか懐かしさを覚える。いやー、ハンター試験でもこうやって世話焼いてくれてたな
「駅に用がないならもう出発するぞ」
『はーい』
バックパックを背負い直して、先を歩いていくクラピカを追う。
街灯の無い暗い道。クラピカがいてくれることが、本当に頼もしかった。
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『就活…リクルートスーツ…待てよクラピカさん持ってるかな?あの協調性皆無の民族衣装しかないんじゃ…?』
「私服可。試験案内捨ててきたのか?」
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shela(プロフ) - はにゃ?さん» コメントありがとうございます!読みやすさ重視で頑張っていたのでとても嬉しいです〜応援ありがとうございます、これからも頑張ります!! (2023年2月10日 18時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ? - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年2月10日 8時) (レス) id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)
shela(プロフ) - アクアクさん» コメントありがとうございます〜!読者様の求めている作品に一致しているだなんて、本当に光栄です!!必ず続きを書きますので、これからも社畜少女にお付き合いいただければ嬉しいです!作品を読んでいただき、ありがとうございました! (2023年1月4日 17時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
アクアク(プロフ) - これぞ私が求めていた作品そのもの!!続き待ってます!!!! (2023年1月4日 8時) (レス) @page45 id: 2730d44706 (このIDを非表示/違反報告)
shela(プロフ) - レーナさん» 読んでくださって、そしてコメントまでありがとうございます!お褒めのお言葉いただき嬉しいです!嬉しすぎますっ!!ネタやテンポ、力を入れているところなのでそう言ってもらえて本当にもう…!お気遣いありがとうございます、これからも頑張りますっ! (2022年4月2日 8時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shela | 作成日時:2021年12月28日 19時