人魚姫に貢いで良いですか？【太宰治】

38：黒い王子さまが置いていったもの ページ38

振られたわけじゃなかった。それは分かった…



「治さん…やだよ…。」



ほろりほろりと流れる涙…。それを止めてくれる人はもういなくて…誰もいなくて…。
寝る時に治さんの部屋に行けばいるかもという…意味の無い自信を持って行くがいなくて…、ホントにいなくなったと言う現実を突きつけられた感じがした。



「何これ…。」



机の上の通帳…治さんのやつだ。申し訳ないと思いながら中を見ると…



「用意周到だなあ…治さんは…。」



そこには私が一生遊んで暮らせる程の額が入っていた。まるで何かを見計らったように置かれてて…




「大学とかも…全部ココから…。」



けど、治さんがいない今…贅沢はしない。一生養えて貢げる程…ホントにあったんだね…。



「治さん待ってるから…私ココでずーっと待ってるからね。」



治さんのシャツはブカブカで…私にはとても大きくて…、治さんの香りがして…とても落ち着く感じがした。
治さんに抱きしめられてるみたい…。泣き疲れたのかそのまま睡魔に襲われて、その場で寝てしまった。





その場で寝たので、治さんのベッドの上にいて…起きたときはビックリした。
そんな生活が何度も何度も続いたんだ。

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