君が何もかも見えなくなるその前に【太宰治】

24：君は今何をしてますか？ ページ24

彼女がいなくなって数日…もう、書類や資料まとめ、報告書をやってくれる人はいない。綺麗にしてくれる人はいない。
敦くんにでも任せても良いのだけれども…私の考えなど全てを組み取って、読み取ってくれる彼女が良いのだ。



そして自さつして失敗したり川を流れに行ったりしても、もう見つけてくれたり探してくれる人はいない。
敦くんや国木田くんがしてくれるのだろうけど…私を見つけた時の彼女の薄いけどほわっとした、あまり見せないレアなあの笑顔が見たいんだ。
安心した…良かったって思ってるあの笑顔が好きなんだ。





「どこ行くんだ太宰。」

「なんでも…。」




いなくなった初日…日が暮れるまで探したけど見つからなかった。与謝野先生なら…分かるだろうか…。





「与謝野先生…。」

「なんだい？太宰…。」

「Aは今…どこにいますか？」




しばらくの沈黙…




「私にも分かんないよ…。」

「嘘言わないでください与謝野先生。教えてください。私は…まだやり残したことがあります。あの子に…彼女に…Aに…会わなきゃならないんです。」




全て話さなきゃ…違うんだよ…って。私は好きだよって…君しかいないって…。




「半年経ったら…教えてあげるよ。だからそれまで我慢しな。あの子とそう言う約束してるんだよ。」




半年…半年って…




「今すぐになきゃ！！」

「太宰！！今まであの子がどれ程のことを我慢したか…笑っていたか…。アンタには分かるかい？アンタと一緒に過ごしたい…一緒にいたいから黙っている、笑っていようって決めたか…。そう決めたときの気持ち…。
ロボット、人形みたいって言われても尚続けてた時の気持ち分かるかい？」

「ッ！！そんなの…分かってます…。」

「なら…アンタも我慢しなきゃ…いけないだろう？」





そう言われてしまえば、黙るしかなくて…待つしかなくて…。





半年なんて早く経っちまえって…。

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