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店を出たら外はもう夕方の空。
いったい蓮の買い物に私は何時間付き合わされていたんだろう。
『蓮、私そろそろ帰りたいんだけど。』
「飯食ってかねーの？」
『帰って食べるから今日はいいや。』
前までは、蓮とこうして出かけると夜ご飯まで彼が一緒に付き合ってくれるから、少しでも長く家から離れられると喜んでいたんだけど。
今日は待ってるって言われたからね。早く帰らなきゃ。
「同居人と食うの？」
『同居人っていうか、シェアメイトね。』
「おんなじような意味だろ、別に。てかカタカナ使うなよ、わかんねーから。」
『そっか、蓮は頭悪いもんねー』
「お前も同じようなもんだろ」
頭が悪いという言葉にむすっとした顔をした蓮は、ぐしゃりと私の頭を乱す。
あーあ、髪ぼさぼさになった。最悪。蓮に乱された髪を手櫛で直していると、彼が「あのさ、」と駅に向けて進めていた足を止めた。
「お前に渡さなきゃいけないもんがあって。本当は今日、そのためにお前のこと呼んだんだけど、」
そう言って背負っていた鞄の中をゴソゴソとあさると、彼は一枚の封筒を私に手渡す。
それを見て、私の思考回路は固まった。
『…これ、』
「あの人から預かった。」
"WEDDING INVITATION"とお洒落な横文字が印字された封筒。
…お兄ちゃんの結婚式の招待状だ。
「このまま逃げんのもいいけどさ、いい加減お前も受け入れて、『…わかってるもん、』
そんなのずっとわかってる。
お兄ちゃんに結婚すると告げられた時から。いや、もっと前からだったかもしれない。
いつか、この気持ちを捨てなきゃいけない日が来るってことはわかってた。…でもね、
「A、」
『…っ、』
また黒い感情に支配されそうになった私の手を、蓮が握った。
目線をあげれば蓮が私を心配そうに見つめてる。何度こうして私は蓮を頼ったか。それはもう数え切れないくらいの回数だ。
私が自己嫌悪に押しつぶされそうになるたびに、彼はこうやって私の手を握って、深い海の底から救ってくれた。
『……ごめん、大丈夫、』
でもこのまま蓮に頼りっぱなしじゃ、私一歩も前に進めないもんね。
そう蓮に笑いかければ、彼は複雑そうに顔を歪める。
「無理に行けとは言わないけど、行ったがいいと思う。そん時は俺も一緒に着いてってやるから」
『………うん、考えとく。』
私の手を握って優しくそう言った蓮に、私は首を縦には振れなかった。
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こゆき(プロフ) - なべふかさん» コメントありがとうございます…！！そのように言っていただけて本当に嬉しいです泣 今後もよろしくお願いします！！体調、気を付けます！ (2020年7月19日 23時) (
レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
なべふか - コメント失礼します!!新しいStoryも素敵です＊こゆきさんの言葉使いと言うんですかね…他には無い表現が読んでいて楽しいです、今後も更新頑張って下さい!くれぐれも体調には気を付けて下さい^^ (2020年7月18日 17時) (レス) id: 2b33477f89 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - まみさん» ありがとうございます…！！一応なんとなくのオチは決めてるんですけど、まだ迷ってるのでどうなるか楽しみにしていただけたら嬉しいです！！大人な深澤さん、わかりました…！たくさん盛り込みますね！今後もよろしくお願いします…！ (2020年7月18日 13時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - このしぇあはうす楽しすぎます！！全員良すぎて1人に絞れません泣。しかし深澤担としては、からかってくる大人な深澤さんが更に見たいです！しかしツンなしょっぴーもかわいいさっくんも非常に上手いです！！流石です！！更新楽しみにしてます！ (2020年7月17日 22時) (レス) id: 5ad6cf8e80 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» コメント嬉しいです…！！私もちょっと悪な感じな翔太くんが好きなもんで笑 ありがとうございます、楽しんでいただけるよう更新頑張ります…！！ (2020年7月3日 16時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年6月22日 21時
