16. 少女のパズル ページ17
頭上からフライゴンが戦利品を手にして降りてきた頃、Aはビートと名乗った少年と喋っていた。
ビートは委員長の素晴らしさを熱心に語っている。
その口ぶりからは、委員長に対する強い敬意と憧れが感じられた。
心から委員長の役に立ちたいのだと、そう思っていることがAにはよくわかる。
そんな中で、Aは邪魔にならない程度に相槌を打っていた。
こんなにも熱心に話すビートを遮るつもりは毛頭無いし、何よりビートの話す委員長について興味が湧いたのだ。
それと、自分のことのように得意気に話すビートの笑顔がもう少し見ていたかった、というのもあるかもしれない。
これはAだけの秘密である。
そんな先程とは違い、年相応の幼さを感じさせる程熱く語っているビートに、ひたすら耳を傾けていた。
そしてビートはふと我に返る。
(何故、この人は飽きもせずぼくの話をずっと聞いているんだ…？
迷惑だと思っていないのか？)
普通、急に他人が語り出したなら、うざったいだとか迷惑だとかそれなりに思うだろう。
実際ビートが同じ立場ならそう思う。
しかし彼女は嫌な顔１つせずに、むしろ笑みさえ浮かべて自分の話を聞いている。
あまり接したことのない優しさに、ビートは少なからず困惑していた。
「あれ、ビート君、どうしたの…？」
ちなみに、急に何か難しい顔で黙ってしまったビートを前に、Aも同様に困っていた。
何か気に障るようなことをしてしまったのか？
そう訊ねようとしたAだったが、先に疑問を口にしたのはビートであった。
「なんで、ちゃんとぼくの話を聞いてくれるんですか」
とても素朴な、疑問だった。
聞きたくもないであろう話をなんで聞いているのか、不思議に思った。
「なんでか……単純に君の話が聞きたかったから、だね。それだけだよ」
にっこりと笑ったAはのびをして応える。
ビートには嘘を言っているようには聞こえなかった。
でもその何でもない返答に、どこか物足りなさを感じたのはきっと気のせいだろう。
「でも、」
「あと…まだ君と話していたかったからかな。君と一緒にいると楽しい」
Aは恥ずかしげもなく言った。
パズルのピースが揃ったように、ビートの小さな心の物足りなさが、その言葉で埋まった気がする。
ついでに、揃ったパズルのその名前も気付いてしまったと思う。
自覚してしまったビートは目を背けたが、不満げなガブリアスはじっとそれを見ていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 395人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ポケットモンスター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
の〜さん（旧もこ）(プロフ) - 私ポケモンとポケモンにでてくる人達全員推しなので嬉しいです！Ｎ出てきただけで泣きそうです……出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。更新楽しみにしてます！ (10月20日 17時) (
レス) @page15 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
レイン - そうなんですか、大変ですね。いつでもエエので更新待ってます！落ち着いてからでエエので！ (2020年3月10日 17時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
霜月千弦、 - レインさん» ポク…あ、ポロックですかね？作者はそれしか思い付かないです。ポロックモンスターとは(笑) (2020年1月2日 1時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 霜月千弦、さん» すみません、ポ『ケ』モンがポ『ク』モンになっていました。ポクモンとは ？笑 (2020年1月1日 21時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
霜月千弦、 - レインさん» 作者は歴代キャラ好きなのに小説が無い…と思っただけで自己満足用なのですが、面白いと言っていただけて嬉しいです！！これからも頑張ります！ (2020年1月1日 17時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霜月千弦。 | 作成日時：2019年11月20日 23時
