不良少女は保護対象 【名探偵コナン】【降谷零】

十二日目 ページ12

.




近くの路地裏で危険度の低い書類に手をつける。あまり登庁できない分、風見達が多くの仕事を捌いてもらっているが……任せてばかりもいられないからな。時間が空いたら書類を確認する、ここ数年で癖づいてしまった悲しい癖のひとつだ




「……もうそろそろか」





彼女が店に入ってから一時間半、そろそろ出てくる頃だろうとパソコンを鞄の中に仕舞って支度を始める。毛利探偵事務所へと続くその道へ、一歩踏み込んだ時だった。"カラン"というベルの音と共に清楚な雰囲気を醸し出した女子高生が、一人で出てきたのを見逃さなかった。





「……おや、これは偶然ですね」

「……なんでいんの？
シフトならさっき終わったはずじゃん」

「上で毛利先生のお手伝いをしていましてね……気がついたらこんな時間に」





もちろん嘘だ。仕事上嘘をつくのが当たり前、ありもしない事実が口からスラスラと出てきてしまう程、俺も黒く染っていた。





「僕のシフトをいつ把握したんです？」

「……さぁね？」






口を割る気はないらしかった……まぁ当たり前か。みんなの中での彼女を見るに、周りから信頼されているのは火を見るより明らかである。その信頼さえあれば、情報くらい簡単に回ってくるってわけだ。女子高生の情報網は時折物凄く恐ろしいからな。





「……だが覚えておくといい。大人は君より何枚も上手だ。そう簡単に君の思い通りにはならない」

「…………」


「じゃあ気をつけて帰るんだよ
くれぐれも夜遊びはしないように」

十三日目→←十一日目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す