世界で一番嫌いなあなたが幸せでありますように。２

８３ ページ35

.



待ちに待ったお正月休み。

初蹴りは４日だから三が日はゆったりできる。



年末年始、5連休の中で１年間を振り返るけど、

やっぱり一番に思い浮かぶのは侑李のこと。


助けてもらったなとか、距離は縮まったかなとか、

好きだなとか。



今年は、今年こそは完璧にマネージャー業をこなせるように。

それが私の目標だなあ。




「A〜 おばあちゃんから苺が届いたんだけど、

侑李くんちに届けてくれない？」



お母さんからのお達し。

侑李かーって、気が重いんだけど。

侑李ママにはお世話になってるし、持っていくしかない。



連休最終日の夕方１６時。

ピンポンを押して、出てきたのは、

今一番気まずい人ランキング１位の侑李。


「あーあの、おばあちゃんが苺たくさん送ってきたから。よかったら、食べて？」


『あ、うん。ありがとう。』


「あ、明けましておめでとうございます。今年もよろしく。」


『ふっ、なんでそんなに堅苦しいの？笑

今年もよろしく。』


侑李の笑顔で緊張してたのがすっと楽になった気がした。

好きな人の笑顔ってものすごいパワーを持ってると思う。


「明日からまた練習だね。」


『三が日休みにしてくれたのは良かったな。』


「ウィンターカップもあるし、頑張らなきゃ。」


『そうだね。』


なんだ、意外と話せるじゃん。

話し始めちゃえばテンポよく話は転がっていくし、

昔ほどではないけど、楽しい雰囲気がある。



「じゃあ、私帰るね。バイバイ。」


『あ、待って。僕、送っていくよ。

暗くなり始めてるし。』


「大丈夫だよ。近いんだから。」


『いいの。送っていくの。』


こういう優しいところと意地っぱりなところ、

侑李だなあ。





このときは、余裕たっぷりだった。


『A、中２のときのこと覚えてる？

僕が忘れてってなかったことにしたやつ。』


こんなことを言われるまでは。



.

８４→←８２(Yuri)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す