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「銀さん、知り合いですか?」
新八の問いかけに、銀時は固まったまま
「おい、お前ほんとに…」
「はぁ、総悟のせいでバレちゃった」
Aと呼ばれたその女は、総悟にグーパンを見舞う
銀時はまだ信じられないという顔で固まっている
「総悟、土方さんに後から合流しますと伝えて」
「何ですかィ、もしかしてこれ?」
「違う。早く行け」
「いてっ」
沖田は親指を立ててみせると、Aはその指を力を込めて握った
「銀時、少し話そうか」
Aは笑ってそう言った
蔵での大騒動は後に駆けつけた真選組が片付けた
Aと銀時は、蔵から離れ、林を抜け街中を歩いていた
「お前、あれからずっと真選組にいたのか」
「近藤さんに拾ってもらった」
しばらくお互い口を開かなかったが、先に沈黙を破ったのは銀時だった
それをAは淡々と返す
余りにもカンタンに終わってしまった会話に、少し気不味い空気が流れる
それでも銀時は会話をなんとか絞り出す
「元気そうでよかったよ」
「銀時も、相変わらずのようで」
「あ?ちゃんと仕事してるっつーの」
「屯所で話題だよ、また万事屋かって」
「ちげーよ、それはお前らが俺らのこと煙たがってるだけだ」
「ほんとかなぁ」
「てめー、疑ってんじゃねーよ」
「ごめんごめん」
銀時がAの頭に手刀を繰り出し、Aは笑ってそれを手で避ける
すると、銀時は足を止め、顔から笑顔を消す
「なんで、今まで黙ってた」
その言葉に、Aも足を止め、顔を曇らせる
そして、その問いかけには答えない
無言を貫くAに、銀時は止まった足をまた進めた
「言いたくないならいいけどよ」
「だから、銀時には会いたくなかったんだよ」
「… はいはい、そうですか」
Aは銀時の一歩後ろを歩いた
自分が問いかけた時、Aのあの曇った顔がどうにも引っかかる
銀時は久しぶりの再開にも関わらず、気持ちの晴れぬまま夜の江戸を戦友と歩いた
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作者名:ハル | 作成日時:2019年8月16日 21時