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「土方さん、これ終わった書類です」
「おう、悪ぃな」
「いえ。お仕事ですので」
「じゃあ総悟…と見回り行ってきてくれ」
「…いってきます。」
「すまねぇ」
「仕事、ですので」
体調も回復し、午後の仕事は残すところ見回りだけ
総悟と一緒ということは、1人で見回りだ
まあ、今は1人になる方がいいか
ウィッグをつけ、愛刀を下げ、準備万端
「あ、A」
「なんでしょう?」
屯所を出る前に土方さんの部屋を通りかかった時、呼び止められる
「最近、辻斬りが連発していてな」
「辻斬り…」
「見回り強化と、油断はするなよ。今日は人数増やして見回りさせる」
「承知しました」
寄りによって、私の見回りの時に
最近は本当に良いことがない
「そろそろ良いことあってもバチはあたらないでしょ…」
ため息をつき、屯所をあとにした
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しばらく歩くと、河原で人が集まっていた
その人混みの中に、何やら白い物体が
随分見覚え、というか、見たことしかないそれに、声をかける
「エリザベスだよね?」
エリザベスと呼んだその物体は声をかけても微動だにしない
よく見れば、いつも一緒にいる
「小太郎はどうしたの?」
その名を出した途端、エリザベスはピクリと動いた
どうやら中身がなくなったわけではなさそうだ
一段と挙動不審なエリザベスを不思議に思い、横目で流していると何やら周りの人達がひそひそと話し始めた
「また辻斬りかい、これで何人目だ」
「切られてんのは用人ばかりだと聞くがねぇ」
その会話を耳にした途端、私は固まった
まさか
嫌な汗が額から頬を伝う
隣にいたエリザベスを見やると
「エリザベス…?」
その白い巨体は、姿を消していた
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作者名:ハル | 作成日時:2019年8月16日 21時