第3話「砂埃」 ページ5
「うわーー!!!今の歌なになに?!」
ドドドドドド、という凄まじい足音が聞こえたと思い、
音がする方向を向くと、ものすごい砂埃を引き連れて、
人がこっちに一直線に走ってきていた。
「そんなのみたことないよー!!魔法?いや、それでも少ししか
魔は使ってなかったね…ちょちょちょ、もっと歌ってみせて?!!」
ふわふわの羽みたいなのがついたマント。
短い金色の髪。
きらびやかなたくさんの勲章。
まぁ言いくるめれば無駄に派手なおっさんが近づいてきた。
つか魔強いなコイツ。王族かな…じゃあ、
「無理」
スタスタスタスタ
関わらないほうが吉、と判断し、一言とばしてその場を離れる。
めんどいめんどい。
こーゆータイプは関わるとめんどいことこの上ない。
わざわざついてく価値もなさそ。だるいだるい。
「あっ、ちょ、待って待って!」
いやついてく気ぃないんで。
つかコイツのほうが俺についてくるし。
「お願いだよー!待ってよー!」
いや女子か…オネエ?(殴)
どっちにしろついてく気ねぇっつの。
「ご飯奢るから待って!」
ぴく
「…」
うわどうしよ、黙っちゃった。
いやでも、ここんとこ十分な食事をとれていないのは確かだった。
実質今も腹減ってるし。
いやでもコイツについてくのも何かとめんどうな気が…。
うーんうーん、と頭の中で考える。
いつもは少しも動かさない表情筋が、少し歪んだような気がした。
「…了承、でいいのかな?」
…たまには、
こーゆーのにもノってやるか。
「行く」
自分でも相変わらずと思う、冷たい一言。
なのに何故か、相手は笑っていた。
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作者名:ミヤビ | 作成日時:2018年8月28日 20時