pair days -episode 2-【番外編】 (ページ26)

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「Aをドキドキさせることに成功だね」

『もう、拳くんにはいつだってドキドキするもん』

そんな風に会話をしながら最後まで食事を楽しんだ。拳くんが美味しいと食べていた料理を、お家でも作って欲しいなと言われてしっかり味を覚えて、使われている食材とか、調味料をある程度推測してスマホにメモをしていく。これで自宅で試行錯誤して作ることは出来るかも。彼は楽しみ〜と声を弾ませている。

食器も下げてもらって最後の１杯を飲んでいると、彼が鞄から綺麗にラッピングされたギフトボックスを渡してくる。有名なブランド名も書かれている。さっきクリスマスプレゼントは貰ったはずだよね？何故またプレゼントが出てくるのか分からなかった。

『えっと、拳くんこれは？』

「俺からAへクリスマスプレゼント」

『あの拳くん、プレゼントはさっきアームウォーマー貰ったよ』

「いやあれは藤宮優にプレゼントだから」

え、と声に出た。彼が言ってることが分からなくて戸惑ってしまう。にこにこと笑う拳くんに、どういうこと？と問えば、彼は丁寧にラッピングをといて箱を開け、中からネックレスを取り出す。ローズゴールドのチェーンにクリスタルのパヴェデザインが煌めいている装飾が施された月のモチーフがぶら下がっている。

「このネックレスはね、俺から可愛い奥さんへ。福良Aにプレゼントだよ」

『ちょっと待って拳くんっ、あの私と藤宮は一緒だしプレゼント２つも貰えないよ』

「んー俺は２つもプレゼントしてないよ」

『えっ、だってさっき』

「アームウォーマーはAの夫ではなく藤宮ファンからのプレゼントなんだよ。それでネックレスはAの夫からね。つまりAの夫である俺は２つもプレゼントしてないってことになるよね」

至極真面目な顔で説明してくれる。何というかこういう拳くんの強引な解釈、たまにしてくるけどいつもよく考えるなって感心しちゃう。ホワイトデーのときも強引さを感じたけど今回は特にそう感じる。

『拳くん、なんか今回のはすごいね』

「えーすごいって何が？」

『だって俺たち思考が似てるから嬉しいって、つまり藤宮ファンじゃなくて拳くんってことでしょ』

「あっ、ついうっかり本音言っちゃってた」

しまったと言う顔をしている拳くん。その顔を見て本当にうっかりだったんだなって思えてくる。たぶん私が手袋プレゼントしたから、本気で思考が似ていたことを喜んでくれたんだ。いつも完璧って言えるくらいなのに、そういううっかりなところも見せてくれるのは嬉しい。肩を落としている拳くんに声をかけた。
　
　
　