きっと、この先もずっと。−５−【川村壱馬】

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壱馬「ふふ。俺もおかえりってAに言えるの、楽しみやわ」







『えっ、あ、』







壱馬「ふふ。心の声やった？」







『はい……』







だろうなとは思った、なんて笑われて。







心の声が漏れちゃうって、こんなに恥ずかしいことなんだなって痛感した。







壱馬「ん？健さんから電話や」







そんな時、壱馬くんのスマホに着信が。健太くんかららしい。







ソファーに並んで座ってる私の腰に腕を回したまま、その電話に出た。







壱馬「お疲れ様です。はい。今Aの家にいます」







健太くんの声が少し漏れて聞こえてくるけど、何を話してるかは分からない。







壱馬「ふふっ、あ、そうなんすね。……はい。大丈夫です。ありがとうございます。はーい」







なんだか楽しそうに会話して電話はすぐに終わった。







『健太くん、何だったの？』







壱馬「今日、健さん来たんやってね。Aの体調心配してて、Aから連絡来た？って確認の電話やった」







『あ……』







壱馬くんが来てくれた嬉しさや、一緒に一日過ごせた楽しさで、朝一番に健太くんが偶然来て体調を労わってくれたのをすっかり忘れてしまっていた。







そして、それを私の口からすることも。







壱馬「ふふ。心配してたから、健さんに後で連絡しときや？」







『うん。あの、ごめんなさい……言ってなくて……』







健太くんが言っていた、“自分の知らないところで他の男頼ってるのは嫌だ”という言葉。







壱馬くんからしたら、自分に知らない内に彼女の家にメンバーと言えど自分じゃない男の人がいるのは気持ちがいいことではないはず。







壱馬「ええよ、そんなん。まぁ、健さんじゃなかったら嫌かもしれへんけど。二人の関係性はもう特別なもんって知ってるし」







『うん……』







厳密に言うと家族ではないけれど、でも実の兄と同じような感覚で接することができる人。







でもそんな感覚を壱馬くんに強要するのは違う。







私が壱馬くんの立場なら、壱馬くんに近しい女性がいるのは不安で仕方がない。







壱馬「それに今回は健さんが居ってくれたときも俺に会いたいって思ってくれてたの分かったから、もうそれでいい。な？」







そう言ってくれてこの話は一件落着、ということになった。







あまりにも大きな心で、愛で包み込んでくれる彼は、本当に、本当に、素敵な人だ。

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