探してたもの、見つけたかもー２ー【藤原樹】

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樹「“ふふっ。うん、何？”」









『もし、樹さんに電話で、会いたい、って伝えて

会ってくれることになったら……家に帰っちゃうよりも

ここからの方が樹さんのお家に着くの早いな、って、思って……』









遠回しに、会いたい、と伝えたみたいになってしまった。









でも、これで反応がなかったら

今日は諦めて家に帰ろう。そう決めていたら。









樹「“じゃあ……迎えに行っていい？”」









『えっ？』









樹「“俺もAちゃんに会いたい。

帰さなくていいなら、そのままうちに泊まってほしいくらい”」









樹さんにだってお仕事の都合はあって

急なことだし

会えたら帰るようにしたら迷惑じゃないよね、って思っていたから。









『帰らなくてもいいんですか？』









樹「“うん。帰さない”」









口調は冗談っぽく少し照れながら笑ってそう言ったけど

決してそれが私を揶揄っているだけの言葉じゃないのは分かる。









嬉しい。

また、一晩一緒にいられるなんて。









樹「“迎え行くから、そこで待ってて”」









比較的近い距離とはいえ

わざわざこちらまで来てくれようとしている樹さん。









『いえ！大丈夫です。樹さんはお家で待っていて下さい』









樹「“いやいや。

夜道一人は心配だって話、さっきしたばっかりですけど？”」









『だけど、夜こそ暗いからって油断したら

樹さんのスキャンダルを嗅ぎ回ってる人が

その隙をついてくるかもしれませんし……』









樹さんの仕事の迷惑になるようなことはしない。









推し、と呼ぶ存在がいる大学の友人に

推しに恋人がいたとしたらどんなことに気を付けてほしいかを聞いた。









それを樹さんの彼女としての立ち振る舞いの参考にして

私がまず警戒をするべきだと学んだから。









樹「“ふふっ。久しぶりに出た。男前なAちゃん”」









『ふふっ。すぐに行きます。なるべく明るい道で。

なので、お家で待っていてくれませんか？』









思ったより自分は恋人に対してわがままで

樹さんはそんなわがままをいいよ、と受け入れてくれる人だから。









樹「“分かった。気を付けて来て？”」









こうやって言ってくれる、って分かってて

樹さんに色々言ってしまう私は、ズルい女なのかもしれない。











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