探してたもの、見つけたかもー２ー【藤原樹】

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樹side











最後に会えた日からしばらくお互いのスケジュールが合わないのは

分かっていた。









連絡は取っているし

二人の仲に影響はさほどしていない。









だけど。









北人「画面見てたってそこから飛び出てくるわけじゃないんだから」









樹「分かってますよ……」









会いたい。顔が見たい。触れたい。









そんな思いは、増すばかり。









北人「なんか、樹がそんなんになってるの初めて見たんだけど」









樹「……まぁ、初めてですね」









今までの彼女にはこんな風にはならなかった。

それは俺が適当な気持ちで付き合っていたからだけれど。









北人「会いたいよーって言えばいいじゃん。会おうよーって」









樹「言いたいですけど

学校もバイトもあって忙しい中で

無理させたくないじゃないですか」









授業が終わったら喫茶店でバイト。

家に帰ってからもレポートや課題がある、と言っていた。









それで俺が会いたいから時間作って、なんて言ったら

あの子がゆっくり過ごせる時間はなくなってしまう。









北人「なんか、女々しい」









樹「なんとでも言ってください」









無理はしない、でも会いたい時は時間を作って会いに行く。

そんな風に決めたけれど

いざ会いたくなっても、遠慮の気持ちが前に出る。









《おはようございます。

今日のお仕事も頑張ってきてください。

私は今日朝から夜まで喫茶店に一日です！

行ってきます！》









そうメッセージが届いていたのは

俺の今日の仕事が始まる２時間前で。

喫茶店の閉店時間は、俺の仕事が終わる２時間後。









《おはよう。頑張ってきてね。俺も一日頑張ります》









そのメッセージと一緒に

隣に座っている北人さんの横顔を写真に撮って送った。









《ようやく休憩時間です！

吉野さんの美しい横顔が疲れた体に染み渡りますね》









そんな返事が来ていたのは俺の仕事が佳境に入っていた頃。









圧倒的に俺より働いている彼女に

会いたい、だなんて軽々しく言っていいものなんだろうか。









《樹さんのお顔は見れないんですかー？》

《って思ったけど》

《見たら会いたくなっちゃうから、送ってきちゃダメです》









樹「ふふっ」









俺に、会いたくなっちゃえ。

そう思いながら自分の手元だけの写真を送った。











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