きっと、この先もずっと。【川村壱馬】

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『“あ、その……どうする事が正解なのか迷ってしまっただけで、迷惑だったとか、そういうのではない、ので”』







この人は本当に、人の心配ばかりして。今一番困っていて、気持ちの面のフォローが必要なのは他の誰でもないあなたであるはずなのに。







壱馬「優しすぎます、Aさんは」







『“え？”』







壱馬「なんで、電話しようって、思ってくれたんです？」







本当は連絡するつもりなんてなかっただろうし、健太さんから来た連絡から察するにAさんは健太さんに相談したんだと思う。







なんだかんだで健太さんに言いくるめられたんだろうなと想像がつくけれど、最終的にどんな考えを出して覚悟してくれたのか知りたかった。







すると帰ってきた答えは。







『“……私だけ、個人情報を知っているのは不公平だと思ったので”』







それがあまりにもAさんらしい理由で、頬が緩んだ。







Aさんはそうやって電話をしようとしなかった自分に言い聞かせてくれたんだな。







壱馬「ふふ。そっか。じゃあこれでおあいこですね？」







『“おあいこだなんて……。情報の重みが違うので、全然釣り合い取れてません……”』







声だけなのに、全然納得のいっていないAさんの顔が容易く想像ついた。







壱馬「そうか。俺が住所くらい教えないと天秤真っ直ぐになりませんね」







俺にとってこの番号は今すごく重たい価値のあるものだから。







『“違います！どう考えても逆です！私が住所も教えないと、いや、教えても、足らないくらいですけど……！”』







その言葉を聞いて、俺の中で意地悪な部分が顔を出そうとしている。……俺ってこんなにも性格悪かったっけ。







壱馬「じゃあ、お家、お邪魔してもいいですか？」

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