第63話『恋バナ』 ページ38
杏奈side
黒木くんはちょっと笑った。
「これを仕掛けた奴には、目的があるはずだ。七鬼を裏切ってまで何かをやらかそうとしているのは、何のためなのか。愉快犯か、利益目的か。それがわかれば、探しやすくなる。そこに関係のある文字列を優先的に解析すればいいんだ。美門んとこの講師なんだろ。日常行動とか性格とか、趣味とか、わかるか」
美門くんは口角を下げた。
「俺、最近入ったばっかだから、全然✕」
私はハッとして言う。
「兵藤なら、何か知ってるんじゃない?好きな人なんだし、それ目当てで塾に行ってるなら、すごく詳しいかも」
黒木くんは、パチンと指を鳴らした。
「よし、それでいこう。神崎は、美門と組んで兵藤を訪問だ。その間、俺と小塚とアーヤは正攻法で取り組んでるからさ」
私と美門くんで兵藤んち訪問とか、気まず。
そう思ったが、この場では私と美門くんが適任なのだろう。
私は、美門くんと一緒に七鬼くんの家を出た。
「美門くん、兵藤の家知ってるの?」
「知ってる。塾で接触した時、聞いといた。スマホのアドレスもバッチリ」
さすが。抜け目ないな。
「この近くだよ。行こ」
もうすっかり暗くなっていた。
道路に沿って立っている街灯の明かりが、ぼんやりと辺りを照らす。
先に立って歩き出しながら美門くんは、こちらに視線を流した。
「神崎って、今彼氏いるっけ?」
急に何。
「いないよ」
「じゃあ好きな奴とかは?」
だから急にどうしたの。
「・・・美門くん、私と恋バナがしたいの?」
「たまにはこういう話もいいかと思って。普段、あんまりしないじゃん」
たしかに、美門くんと一緒にいることは多いけど、あまりお互いの恋愛事情を話したりはしないかも。
「そういう美門君は彼女いないの?」
「俺が先に質問したんだけど」
「美門君が話してくれたら、私も話す」
美門君は、ちょっと息をついた。
「いないよ」
そうなんだ。美門君モテるから、意外かも。
「そもそも、彼女できたら真っ先に神崎に報告してるよ」
「え、嘘。なんで?」
「なんでってことないでしょ。そもそも、俺がこんなに話す女子って、神崎とアーヤ以外にいないし」
なんだかそれって、付き合うなら私か彩ちゃんのどっちかだって言ってるみたい。
なんて、思い上がりすぎか。
彩ちゃんと美門くんが付き合うのは有り得るけど、私と美門くんが付き合うのは絶対ない。
友達以上恋人未満。それが今の私たちの関係なんだろうな。
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?かなかな - よろしくお願いします!澪さん!美門くんは誰がみてもかっこいい(笑)確かにかも😊外見だけじゃなくて、中身もいいもん!美門くんはまわりに気を配ったりもしてるからさらにね。なんか、あったことあるみたいになってる(笑) (2021年10月26日 19時) (レス) id: d59fc0899f (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - ?かなかなさん» 名前の読み方は「みお」です!美門はもう誰が見てもかっこいいので私もすごく好きです笑 (2021年10月24日 11時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
?かなかな - 凄い!見てみたら、お話増えていたし、澪さんから、お返事きてた!ちなみにこの『澪』って、どう読むんですか?「みお」とかですかね?それにしても、澪さんも美門君好きですかぁ〜。やっぱり人気な方ですね。美門君。私は、どっちかというと美門君の考え方に憧れてる? (2021年10月24日 10時) (レス) @page41 id: d59fc0899f (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 環さん» たまちゃんありがとう!今回は恋愛の絡みいっぱいにしてみました!喜んでもらえて嬉しいです! (2021年10月23日 12時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 澪ちゃんんんんん!最高、神レベルの最高!!!!!きゅんきゅんだよお!!最近いっぱい更新してくれてありがとう!!楽しみにしてますっ!!!!! (2021年10月23日 10時) (レス) @page41 id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2021年7月6日 22時