笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ43)

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第10話『決定』ページ43

杏奈side

彩ちゃんの隣で、黒木くんが頷く。

「社長って、権力を持ってる反面、孤独なものだからね」

黒木くんの艶やかな目に、暗い影がちらっと横切った。

「俺たちが、それを少しでも癒してやれるんなら、やる価値があるよ。仲間って、そういうものだろ」

なんてかっこいいことを言う人なんだろう。

若武くんは上杉くんに目を向ける。

「ということだ。降参か、上杉先生」

上杉くんは冷静に答えた。

「お前さぁ、でかいツラすんじゃねーよ。今賛成票を集めてるのは、お前の意見じゃなくて小塚の意見だろ。それなら俺も賛成するよ。降参すんのは、若武、お前だ」

若武くんは悔しそうに舌打ちしながら、期待を込めた目で私と美門くんを見た。

「お前らは、どっちに賛成？」

私たちは困ってしまう。

これはなんて答えるのが正解なのか。

若武くんの機嫌を損ねたくないけど、それで若武くんに賛成したら媚び売っているのが見え見えで、上杉くんから反感を買いそう。

美門くんとかはKZに入りたいし、どっちを選んでも立場が悪くなるから答えを出せない。

すると、黒木くんが素早く言う。

「美門と神崎がどっちに賛成するにしても、小塚の意見にもう4票が入ってるんだから、砂原に接触して、あいつの気持ちを聞いてみるってことで、どう？」

さり気ない言い方だったけど、私と美門くんの立場を救うにはナイスな言葉だった。

彩ちゃんがみんなを見回す。

「賛成。砂原にコンタクトしようよ」

小塚くんが頷き、私と美門くんはほっと胸を撫で下ろす。

「じゃ、それでいいよ」

若武くんが仕方なさそうに呟く。

「もうすぐ11時だ。充分遅いから、それ、今後の課題にする。次の集合時までに考えてくるように。じゃ、これで解散。アーヤと神崎を送っていこうぜ」

おお。紳士的。