笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ15)

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第62話『負けたKZ』ページ15

杏奈side

翌日の日曜日。

私は秀明で授業を受けると、M＆Mに向かった。

彩ちゃんと一緒に行こうと思ったんだけど、彩ちゃんはみんなが来るより早く行って若武くんの練習に付き合いたいらしくて、急いで行ってしまった。

私は仕方なく一人で秀明を出てM＆Mに向かうことにした。

秀明の玄関付近で、男子生徒が話していた会話が、私の耳に入った。

「今日の試合、KZぼろ負けだったんだろ？」

「5対0だろ？ひでー数字」

「メンバー全員グラウンドで説教されてるんだって。可哀想」

じゃあ、上杉くんと黒木くんはお説教されてるんだ。

大変だなぁ。

他人事に思いながら、私はちょっと暗い道を1人歩いた。

すると、後ろから足音が聞こえた。

足音からして若い男子。もう1m以内にいる。

そして、肩を叩かれる。

振り返ると、そこには塾で同じクラスの山本くんだった。

私を追いかけて走ってきたのか、少しだけ呼吸があがっていた。

「神崎、一緒に帰らね？家まで送るよ」

「私これから行くところがあるから大丈夫だよ。ありがとう」

さらっと去ろうとした私の腕を、山本くんが掴んで引き止める。

これは・・・。

「あのさ、俺初めて見た時から神崎のこといいなって思ってたんだ。」

やっぱり告白だ。

まだ入塾してから全然日が経ってないし、山本くんと話したのも数回ぐらいしかない。

そもそも、初めて見た時からいいなって思ってたって何が？顔の話？

そんな理由で私を好きになって告白してきたの？

「今彼氏いないなら、俺と付き合って欲しいんだ。ダメか？」

えっとこういう時はなんて言うのが正解なんだっけ。

「告白してくれてありがとう」

私は困ったように笑う。

「でも、今は恋愛する気はないから、ごめんなさい。」

この返答が一番誰も傷つかない。

そして、彼からの好意も上手いこと残したままにできる。

一番、楽して生きられる回答。

「そっか・・・。答えてくれてありがとう。でも俺、まだ神崎のこと諦められそうにないから、まだ好きでいてもいいか？」

私は感情のない笑を向ける。

すると、山本くんは私の気持ちをわかってくれたのか、少しだけ悲しそうに目を伏せた。

そして、私に軽く会釈をすると走って去っていった。

・・・めんどくさい。

私がM＆Mに向かおうと足を進めようとすると、いつからいたのか、電柱の後ろから上杉くんと黒木くんが姿を現した。

「ごめんね。聞くつもりはなかったんだけど」

「・・・悪い」