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＊
ふ、と意識が浮上する。そこで気付く。
「私ったらオッパのベッドで夜を明かしたの……!?」
がば、と大きく起き上がると体から何かが落ちた。目をやると
「ブレザー……私、は着てるし。なんで?誰の?」
少し怖くなって胸元の名札を見ると、
見知らぬ人じゃなかっただけ安心はしたが、昨日彼を家に入れた記憶はない。
トークアプリを開いて少し前に追加したばかりの彼の名前を探すと、新着メッセージ数を知らせるピンと共に一番上にあった。
通知時間は昨日の夜頃に、立て続けて6件。
『さっきはごめん。』
『謝ろうと思って今家に行ったんだけど、出ないだけじゃなくて明かりも物音もしなかったから心配になって透明化使って中に入った。それもごめん、言い訳すると言い出しっぺはテヒョンイヒョンだから文句はヒョンにお願い。』
『他のヒョンに言ったらすごい怒られたから問いただされる前に謝っとく』
『でもさっきのこと、俺もヒョン達も、悪気があったわけじゃないんだ。』
『明日の放課後屋上に一緒に行ってほしい。話したいことがある。』
『あと、制服のまま寝るの、しわになるからやめた方がいいよ笑 上着は明日返して。』
全部読み終えて、改めて彼の優しさを確認して、困り果てた。
なぜなら私は今までトークアプリなどを通じて人とここまで込み入った話をしたことがないから。
自分でも自覚をしているがコミュニケーションをとることが苦手なので、今までろくに友人と呼べる人もいなかった。兄とは基本的に電話だったし、仮にテキストでも身内なので既読だけつけていたのだ。兄もそれはわかっているから、私がメッセージを見たことさえわかれば何も言ってこなかった。
しかし今回はわけが違う。まだあまり親しくないクラスメイトだ。いくら私でも返信すべきだとわかる。
「うーーーーーん…………」
悩み続けて、そろそろお風呂に入って学校に行く準備をしなきゃいけない時間になった。
このまま悩み続けて遅刻でもしたら私が指導されてしまう。
ほとほと困り果ててしまった私は
『了解です。』
とだけ返して画面を閉じた。
シャワーを浴びてご飯を食べて私と彼の制服に簡単にアイロンをかけ着替えて、何とかいつも通りの時間に家を出るとドアの先にはグク君。
「おはよ、A。いつもこんな早い時間から登校してんの?」
「おはようグク君。はい、これ上着。ありがとう。」
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