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＊
「だいぶ育ってきたね。」
ソクジン先輩の言葉に頷き、
目前の長く伸びたヘチマのツルに目をやる。
「まさか…ここまでとは思わなかったですけど。
ちゃんと網張っておいたのにはみ出るなんて。」
ツルが伸びてもいいようにと、
大きな網を張っていたのだが
いつしかそれすらもはみ出て電圧盤らしき
設置物の方まで
ツルを伸ばしてしまっているヘチマに水をやる。
「って、いいながら水はやるんだ。」
面白そうに駆け寄ってくるホソク先輩。
私がここ数日早退やら呼び出しで
来れなかったり時間が合わなかったりだったので
部活として先輩たちに会うのは
ひどく久々な気がする。
「…まぁ、枯らす訳にはいかないので。
育ちすぎならきっと先生方も許すでしょう。」
他の鉢植えに足を運びながら、
きりきりと痛む頭に少し眉を寄せる。
ああ、またテヒョン先輩が監視してるのか。
ここ数日で、一部の先輩とは
少しだけ関係が変わったように思う。
まぁ勘違いされて当然なんだがジミン先輩、
テヒョン先輩とは例の指導の一件以降
少しだけ距離をとられているように感じる。
粗方向こう側だと思われたというところだろう。
なおテヒョン先輩の方は私が何か発言をする度に
虚偽がないか疑っているのだろうが
常に能力を使っているようだ。
2人共話すのは普通に話すのだが、話題にしろ
態度にしろ探られているのをひしひしと感じる。
逆にソクジン先輩、ユンギ先輩の3年組は
若干私に優しくなったように感じる。
これは私でも謎なのだが。
特にソクジン先輩…あなた指導の時に
私が能力で妨害しに行ってるのに
なんであんなにベッタリなんでしょう…
ユンギ先輩は恐らく私の反動、という弱みを
握っている分、余裕をもって接せるから
多少態度が柔らかくなったんだろう。
一通り鉢に水をやり終わり畑に移動する。
するとひょこひょことついてくるのは
「どうしたんですか?テヒョン先輩。」
「なんで今嘘ついたの?」
小声の彼に思わず動きを止めて首を傾げる。
先輩もなぜか一緒に首を傾げ
そのまま続ける。
「100％の嘘じゃないみたい。
反応は弱かった、でも反応した。
なんで?今嘘つく要素あった?」
「…なんのことですか。」
問い返すと、だから!と彼独特の声が大きくなる。
そこから周りの視線が集まると
いや!なんでもない!と
決して何でもなくないことを丸出しにしつつも
小声(仮)で続けた。
「本当は、その植物って全部
何か目的があって育ててるんじゃない?」
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