【歌い手】ライブやイベントに一切出演しない爆発的人気を誇る歌い手が逆ハー(乙女ゲー)を回避しそこねそうになる話

八十九話 涌いた ページ48

不思議と今なら即興で弾けそうな気がした


気持ちがとても軽い


それがどうしてかはわからないけど、ポーンっと1音鳴らしてから、一気に入る


《〜♪♪》


一瞬にして店内は静かになり、うらたさんまでもが聞きいっていた

_____ _____


人が集まってきたのを見計らって、演奏を終了する


ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ


『……』


フードをかぶった見知らぬピアニストに拍手するなんて心が広いな


う「……本当に、Aちゃんが？」

『今見てましたよね』

う「凄い、一気にその世界に引き込まれた」

『人が集まってきたので行きますよ』

う「あ、ちょっと！」


私としては失態だったのだろうか

あんなにも人目がつくところで即興なんて…



うらたさんが必死にトテトテと追いかけてるのを気にもとめず、私はただ早歩きでその場から離れた



『……』

う「ねぇ、スタ○のカフェに行かない？」

『…なんでもいいです』

う「じゃあ決まりね」


ｷﾞｭｯ


『さり気なく手を繋がないでください』

う「落ち込んでいても言葉は冷たい！」

『はぁ』

なんだか、人目に付くって疲れるな…


う「……」


普通に手を繋いではくれなかったことに理不尽を覚えました

_____



『はぁ、』

う「何回ため息ついてるんだ！ほら、これ飲んで」

『……お、美味しい』

カフェなんて滅多に行かないから、私としては新鮮だった


う「……もしかしてさ、」


何か察したような、疑問がチラつく目をしていた


『…なんですか』


う「……怖いの？」








……そっちか

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