【歌い手】ライブやイベントに一切出演しない爆発的人気を誇る歌い手が逆ハー(乙女ゲー)を回避しそこねそうになる話

六十話 受験 ページ18

『ここのお店ってメニューを超えていきますね、とっても美味しいです』

そ「おー良かった良かった」

頼んだデザート(抹茶わらび餅)を食べ終え、食べ物という祝福が贈られた程、私のここのお店の評価は食べロ○で星三つを獲得してもいいほど、美味かった


カランカラン

『ご飯、ご馳走になりました』

そ「普通遠慮するところだけどな」

『奢ってくれるなら遠慮なく奢ってもらう派です』

そこに遠慮なんて言葉は知らない

さらに言うと、そらるさんなんだしいいでしょ別に、ってくらい


雪はなくても夜は寒いな……

隣人なので帰る方向が一緒だから、渋々並んで歩く

お店はマンションから徒歩で15分以内なのでとんだ良いお店を紹介してもらったなと思った

なんであんなお店って知ってたんだろう……

お店のことで頭がいっぱいになっていると、不意にそらるさんがこっちを向いた

そ「何歳だっけ？」

『18です』

そ「大学？」

『高校3年ですかね』

そ「_____はっ！？」


そんな驚くことか？


『何驚いてるんですか』

そ「いや、てっきり二十歳超えてんのかと」

『この身長で二十歳はありえませんね』

そ「もう伸びねぇよ」


現実を突きつけられるも、話を戻す


そ「受験どうしたんだよ」

そっちか

『……行きたいところは一応あります』

そ「勉強しろよ」

は？あーそうか、そらるさん知らないのか

『私の頭なら基本あの頭のいい学校だって、どこだって入れるんです』

そ「さらっと自慢するなよw」

『………けど』


私が行きたいのは此処じゃない


『音楽の勉強をしたいんです』

そ「……」

『自分の世界観を広げて、自由自在に操りたいんです、五線譜を。』

そ「夢？」

『夢じゃなくて、目的です。………両親がウィーンにいるんです。だから、そこに1年間留学をしようかと』

そ「本場に行くということか….」

『まぁ、そうですね。こんな話を彼方さんにしたのは、あるお願いがあってなんです』

そ「お願い？」

『……隣の部屋、空けといてくれませんかね？』

そ「はぁ？」

『ある程度、荷物は取っておきたいんです』


これは、大家さんには事前に話してあるから、別にわざわざ彼方さんにこんなお願いをしなくてもいいんだけど……


『″そらるさんに″お願いしてもいいですかね』

そ「？、ん、了解」



今はこの言葉の意味はわからなくていい、

いつか、わかるはずだから

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